国内

反君が代教師「君が代を弾くと指が震え胸がつまり冷汗出る」 

橋下徹・大阪に市長が推進する教育改革に対し、教員組合側は激しく反発している。昨年12月上旬には、大阪職員組合(大教組)など8団体が主催した1400人を集めた反対集会が開かれた。

集会に参加した教師たちは、普段は子供たちに教育を施す「先生」である。そして、子供たちには暴力的な行為を否定することを教えている。だが、そうした“聖職者”が我慢の限界を超えると、時として自身が“暴力装置”に変貌することがある。その“導火線”となってきたのが「君が代」問題だ。

2008年に橋下氏が府知事に就任して以降、大阪では教職員への国歌斉唱時の不起立に対する戒告処分が続いてきた。2010年3月に府立高の卒業式で起立しなかった4人の教員が戒告処分を受け、昨年6月には府議会で「君が代起立条例」が成立し、府立校で君が代斉唱の際の起立が義務化された。現役の府立校教諭で、「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン大阪」事務局の井前弘幸氏が語る。

「個人の思想・良心から国歌斉唱の際に不起立をする者の多くは、組合活動を熱心に行なってきた50代の教員です。今後も自身の信条に従って起立せず、条例に背いて処分を受け入れる可能性が高いでしょう。

橋下市長の狙いは、こうした教員を学校から追い出して若い教員の後ろ盾を奪ってから、評価システムで管理・支配をしていくことにある。そのために君が代を踏み絵にしたのでしょう」

それが教組の中核教員に絶大な影響を与えることは、過去の事例からわかる。東京の都立高校元教諭で「不起立のジャンヌ・ダルク」の異名を持つ女性教師は、自身のHPでこう心情を述べている。

「(式典で君が代を聞くと)心臓がバクバクし、中国大陸に侵攻した日本軍の若い兵隊が中国人捕虜を銃剣で突くように命じられた姿が浮かんだ。私は“お前は突くのか”といわれているようだった」

こうした「反君が代」教員の相談に乗ってきた精神科医の野田正彰・関西学院大学教授の調査では、こんな事例が報告されている。

「音楽準備室に入り込んでくるカメムシが教育委員会の人間に見えて、見張りにきたと感じた」
「クビを吊っているイメージが浮かぶ」
「『君が代』を弾こうとすると指が震え、胸がつまり、冷や汗が出てくる」

極端なものになると、「ピアノ伴奏を強要され続けた音楽教師がストレスによる出血で緊急入院し、診断を受けたところ胃の動脈8か所から出血していた」という。このエピソードは昨年のW選挙期間中に『赤旗』による橋下批判記事で取り上げられ、教師たちの間で反響を呼んだ。

※週刊ポスト2012年1月13・20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中を旅するロリィタモデルの夕霧わかなさん。身長は133センチ
「毎朝起きると服が血まみれに…」身長133センチのロリィタモデル・夕霧わかな(25)が明かした“アトピーの苦悩”、「両親は可哀想と写真を残していない」オシャレを諦めた過去
NEWSポストセブン
人気シンガーソングライターの優里(優里の公式HPより)
《音にクレームが》歌手・優里に“ご近所トラブル”「リフォーム後に騒音が…」本人が直撃に語った真相「音を気にかけてはいるんですけど」
NEWSポストセブン
キャンパスライフをスタートされた悠仁さま
《5000字超えの意見書が…》悠仁さまが通う筑波大で警備強化、出入り口封鎖も 一般学生からは「厳しすぎて不便」との声
週刊ポスト
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
エライザちゃんと両親。Facebookには「どうか、みんな、ベイビーを強く抱きしめ、側から離れないでくれ。この悲しみは耐えられない」と綴っている(SNSより)
「この悲しみは耐えられない」生後7か月の赤ちゃんを愛犬・ピットブルが咬殺 議論を呼ぶ“スイッチが入ると相手が死ぬまで離さない”危険性【米国で悲劇、国内の規制は?】
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン