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西成区特区構想 市長が力説することでイメージ低下懸念の声

大阪市の橋下徹市長は、大阪府外から、西成区にある日雇い労働者の街「あいりん地区」周辺に転入してくる子育て世代を対象に、市民税や固定資産税を一定期間免除するなどの優遇措置を盛り込んだ「西成区特区構想」を打ち出した。

「あいりん地区」は、JR環状線「新今宮駅」南側に位置する約1キロ四方のドヤ街である。地元では古くからの呼称、釜ケ崎と呼ぶ人も多い。

元々、労働者の街ではあったが、1970年の大阪万博前後を中心に、全国から労働者が集まり、そのまま定着した。周囲には簡易宿泊所が乱立し、住民票などがなくても口座の作成ができる貯蓄組合ができるなど、“日雇い労働者の街”となった。

その一方で、覚醒剤の売買や犯罪者の潜伏先になるなど、犯罪の温床となってきたことも事実だ。英国人女性殺害容疑で指名手配されて、全国を逃亡していた市橋達也被告が、一時潜伏していたことでも知られている。

現地を歩くと、真冬にもかかわらず、上半身裸でワンカップ酒を飲み歩く男性や、路上で昼寝をしている男性、そして片方だけのスリッパを10円で売る露天商などが、道路のあちこちで店を出している光景に出くわす。公園には日雇い労働者らしき中年男性が大勢座っている。

ただ、「これでも治安は回復した方だ」と語るのは、西成選出の大阪市議・尾上康雄氏だ。

「ドヤ街には監視カメラを設置し、治安の改善に取り組んできました。今では通天閣などの観光地に近い利便性と、値段の安さから簡易宿泊所に泊まってくれる外国人旅行者も増えており、世間でいわれるほど恐ろしい街ではありません。橋下市長が『あいりん地区』を『特区』と力説すればするほど、マイナスイメージが拡大すると住民は懸念しています」

※週刊ポスト2012年2月10日号

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