ライフ

なぜか男も女も裁判も木嶋佳苗中心に回り出すと女性作家困惑

木嶋裁判すべて傍聴の北原みのりさん

 出会い系サイトで知り合った男性三人を殺したなど容疑で、検察に死刑を求刑された木嶋佳苗被告(37歳)。彼女の裁判の傍聴を続けている文筆家で女性用アダルトグッズショップ「ラブピースクラブ」代表の北原みのりさんが語る「私が見た佳苗」。第三回をお届けする。(聞き手=ノンフィクションライター・神田憲行)

 * * *

——北原さんは女性向けアダルトショップを経営されていて、性的に関心が高い女性を毎日見てこられたわけなんですが、木嶋佳苗被告のようなお客さんはいますか。

北原:いないいない。彼女に必要だったのはバイブじゃなくてお金だったから。裁判で彼女の日常が明らかになったんですが、早朝に起きて一日に二回も三回もブログを更新して、三食作り、何十通も男性にメールしている。

 検事から「あなたは仕事もせず、毎日お休みみたいなものでしょう」と言われて「私は毎日休んでいる感覚ではありません」と答えているんですが、実際に仕事のように男性たちと接触しているんですね。

 亡くなった三人以外にも佳苗は男性にお金を振り込ませているのですが、誰も「返せ」とは言っていない。お金を振り込ませること自体至難の業だと思うのですが、振り込ませてしかも返せと言われないのは不思議なところで、みんな佳苗に「やらされている感」があるんです。

——「やらされている」とは?

北原:なぜか佳苗とかかわると、彼女中心になってしまうということです。男性もそう、裁判もそう、あたし自身もそうです。裁判の傍聴を始めてから3ヶ月間他の仕事は手につかない。今度は彼女の生まれ故郷の北海道に行くんですが、取材に「行く」というより「連れて行かれる」感じがあります。

——どっふりとはまっている。

北原:この間はついに編集者から「佳苗さん」て呼ばれました。テレビのリポーターからは「北原さんはこの事件に関わっているわけですが……」と言われてしまいました。関わってねぇし!(笑)。

「傍聴に行く」というと「出廷ですか」とか言われるし。しねーよ! どんどん自分と佳苗の距離が近づいてきている気がします。

(終わり)

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン