夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、水産メーカー勤務のご主人(47歳)。奥様(47歳)は以前、モモンガを飼育していました。
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今はハリネズミです。飼うのは勝手ですけど、僕のほうはえらい迷惑ですよ。
「なんで今夜もイワシの丸干しなんだ?」
「良質な動物性たんぱく質が豊富なハリネズミ専用フードって高いのよ。ケンちゃんのために我慢して」
「誰だ、ケンちゃんって?」
「ハリネズミの名前よ。ペットショップで初めて見た時、小学校の初恋のケンちゃんに眼差しがそっくりだったの」
それぐらいはまだ許せますが、
「アナタ、問題! ハリネズミは何の仲間でしょうか?」
「ハリネズミっていうぐらいだから、ネズミの仲間だろ?」
「ブーッ! モグラの仲間です! ハリネズミって大きく分けると、ピグミーヘッジホッグとナミハリネズミに分けられると知ってた?」
って、知らないし、知りたくもない!
それに僕が少しでも近付こうとすると、「鋭い針が生えているのは何のためか知ってるの? 身を守るためで、すごく臆病なのよ! 驚かせないで!」。
この前なんか、ソファで新聞を読んでる僕の顔を覗きこみ、「眼差しがケンちゃんと全然違う!」って、違っていて結構だよ!
※週刊ポスト2012年9月7日号