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筋肉の質によって「長距離走向き」「短距離走向き」が決まる

 50代を超えても30代に見えるドクター・南雲吉則先生が女性セブン読者の健康に関する相談に答えるコーナー。今回はマラソンに関する相談に回答する。

【相談】
 子供も私も、どうも長距離走が苦手です。運動神経が悪いわけではないと思うのですが、どうしてなんでしょうか?(ふう子・36才・主婦)

【回答】
 暖かくなって、外でスポーツをする人も増えてきたね。ふう子さん親子は、短距離が得意で長距離が苦手みたいだけど、その逆の人もいるよね。その理由は、人によって、“筋肉のタイプ”が違うからなんだ。

 魚を例にとって考えてみよう。マグロのように、休むことなく海面の浅い部分を一生泳ぎ続けている魚は、身が赤い。赤といえば何の色かな。そう、血の色だね。血は何を運ぶのかな。そう、酸素です。つまり赤身の魚は酸素と脂肪を燃焼して有酸素運動をしているんだ。だから脂ものっている。

 一方、ヒラメやカレイのように普段は海底の岩陰や砂の中に隠れてじっとしていて、敵や獲物がきたときにパッと素早く動く白身魚のエネルギー源は、脂肪ではなくグリコーゲンという糖質。

 だから、白身魚をよく噛んでみると、脂はのってないけど甘みがあるよね。 糖質はあまり体に蓄えられないので、瞬発力はあるけど持久力はない。白身の魚は無酸素運動をしているんだ。

 人間の体にも、魚の赤身と白身のように2種類の筋肉があって、それらを“赤筋”と“白筋”と呼ぶ。赤筋は別名“遅筋”、白筋は“速筋”とも呼ばれている。

 マラソンやジョギングなど、長時間継続して有酸素運動するときには酸素と脂肪を燃やす赤筋が使われる。そして短距離走や砲丸投げなど、瞬発的に大きな力を出す無酸素運動をするときにはグリコーゲン(糖)を燃やす白筋が使われるんだ。

 人間は赤筋・白筋の両方の筋肉を持っているんだけど、どちらの筋肉が多いかによって“私は長距離が得意”、“私は短距離が得意”という個人差が生まれるってわけ。ただ、もちろん努力次第で、赤筋と白筋の比率を変えることはできるんだよ。

 ところで、短距離をダッシュすると、疲れて立ち上がれなくなることがあるよね。その理由は、糖分は体内に少量しか蓄えられないからなんだ。

 糖分は、燃焼効率が悪く、1g燃やしても4kcalにしかならない。糖分をたくさん体に蓄えようとすると、体がすごく重くなってしまうから、糖分はあまり蓄えられない。

 一方、長距離走などの持久系のスポーツに使われる脂肪は、1gで9kcalにもなるから非常に効率がいいうえに、体に蓄えられやすいという性質がある。だから、人が太るときは、脂肪が増えていくんだ。

 だから、もし痩せたいのであれば、赤筋を使い、脂肪を燃焼させる有酸素運動がおすすめだよ。体の負担が少ないウオーキングや、以前お話しした、家事や通勤時間をエクササイズに変えるノンエクササイズが効果的。

 それに対して白筋を使う瞬発系のスポーツは、普段運動しない人にとって心臓や関節に負担がかかるし、すぐに体の中の糖質を消耗してしまうから、お腹が空くのも早く、ドカ食いにつながる。せっかく運動しても太る原因になることもあるから、気をつけようね。

※女性セブン2013年4月11日号

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