スポーツ

川内優輝 病院送りの2時間半後に亡き父の故郷で墓参り敢行

亡き父の故郷で先祖の墓参りする川内優輝

 まさに死にもの狂いだった。6月16日、隠岐の島(島根県)ウルトラマラソン50kmの部。“史上最強の市民ランナー”川内優輝(26・埼玉県庁)が、ゴール長後に過呼吸と全身痙攣に襲われ、酸素吸入器をつけたまま、病院へ搬送された。

 だが、周囲の心配をよそにゴールから2時間半後、川内は島内の共同墓地にいた。実は、隠岐の島は高校3年のとき他界した父の故郷で、先祖の墓参りに赴いたのだ。病院で点滴を2本打ったが、「まだ脹脛(ふくらはぎ)が攣(つ)ってるんです」と脚を引きずりながら急な山道を登り、墓前で神妙に手を合わせた。

「無事、生きて還らせていただいてありがとうございましたって。2年前も今日も、本当に死ぬかと思いました。守られてますよね……。ここは先祖の古里ですから、頑張らないわけにはいかなかった。僕は才能のない分、精神力でカバーするしかない。レースじゃないとここまで追い込めないんです。でも、精神力だけでもダメなので、給水の中身や坂道の走り方を修正して、(8月の世界陸上)モスクワでは6位入賞を目指したい」

 モスクワまであと2か月。次のレースは7月7日のゴールドコーストマラソン。川内の命懸けの夏は、まだ始まったばかりだ。

取材・文■高川武将 撮影■渡辺利博

※週刊ポスト2013年7月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン