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韓国の旭日旗禁止法案 朝鮮半島有事時の自衛隊連携にも影響

 中国の陰に隠れがちだが、韓国は近年、軍備拡大を続けてきた。若い兵士の中には「米軍なんか大したことはない、ましてや日本なんてちょろいものだ」といったことを言い出す者もいるという。その考えがいかに誤ったものなのかを軍事ジャーナリストの井上和彦氏が解説する。

 * * *
 そもそも韓国の軍事的な仮想敵国は日本ではない。「反日」をてこに軍備増強を続け、「我々は日本より強い」という嘘を撒き散らしていると、手痛いしっぺ返しを食うことになろう。韓国の首都・ソウルは北朝鮮との国境から40km程度しか離れていない。本来は北朝鮮の脅威からどう国を守るかを最優先で考えなければならないはずだ。

 韓国国内に駐留する米軍は陸軍が2万人程度で、海軍、海兵隊はおらず、空軍もごくわずかである。いざ朝鮮半島有事となれば、米空軍は日本の嘉手納基地から、海兵隊は沖縄と岩国から、さらに海軍は横須賀、佐世保から韓国へ向かうことになる。韓国の安全保障は在日米軍が担っているのだ。だからこそ自国を守るためには、むしろ日本の自衛隊との円滑な連携が必要なのである。

 にもかかわらず、韓国国民は相変わらず政府・メディア主導の反日に踊らされている。韓国では、国内で日本の旭日旗を掲げた者に1年以下の懲役刑や300万ウォン(約27万5000円)以下の罰金を科す刑法改正案、いわゆる「旭日旗禁止法案」が国会に提出された。成立するとどうなるか。朝鮮半島有事にあたり、自衛隊が米軍をサポートすることさえ難しくなる。旭日旗は海自の自衛艦旗であり、陸自の連帯旗でもある。

 韓国軍の上層部はその問題を理解しているようで、10月11日、韓国海軍の前参謀総長で制服組トップである合同参謀本部議長に内定している崔潤喜氏が国会で、日本との軍事協力が必要であるとの考えを示している。

 そうした声に政府・メディア・国民が冷静に耳を傾けることができなければ、待っているのは破滅への道だ。朝鮮半島有事の際に国を守ることができずソウルが火の海になるか、あるいは中国に取り込まれて属国となる歴史を繰り返すかである。

※SAPIO2013年12月号

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