芸能

『日曜美術館』の井浦新 「ドキュメンタリー撮ってる感覚」

 1976年に放送開始し、38年目を迎える『日曜美術館』(NHK-Eテレ)。このご長寿番組のキャスターを4月から務めているのが俳優の井浦新(いうらあらた・39才)だ。彼が登場してから「朝から癒される」「美術に興味なかったけれど、毎週見るようになった」という女性たちが続出中。多くの女性たちを虜にする彼の魅力に迫る。

 番組の収録を終え、台本を片手に現れた彼に、「すっかり日曜美術館の顔になりましたね」と、声をかけると少しはにかみ、「なってきましたか? それはうれしいです」。そう言って井浦は静かに微笑み、かみしめるように語り出した。

「最初、この仕事の依頼を受けたときは、正直、驚きました。だって日曜美術館はずっと見てきた番組ですし、38年の歴史がありますから。これまで通り、一視聴者として番組を見ているほうが、純粋に美術を楽しめるんじゃないかと思って。迷いました。

 でもぼくにとって、文化、芸術、伝統、歴史を知るのはライフワークのひとつ。時間が許す限り、展覧会に足を運びますし、司会をやることで感性も養っていけますから、こんな光栄なことはないと思って引き受けました」(井浦・以下「」内同)

 1974年生まれの39才。身長は183cmと長身で、19才からモデルとして数々のファッション誌の表紙を飾り、1998年に是枝裕和監督の映画『ワンダフルライフ』で主演として俳優デビュー。以後、役者として順調にキャリアを重ねている。

 そんな彼は幼い頃から芸術に親しんで育ったという。

「小学校の教員だった父が伝統や工芸の文化が好きだったので、家の中に獅子頭や土偶のレプリカがあって。しかも、中途半端な大きさではなくて、ほぼ等身大のレプリカがあるという家庭環境だったんです。だから、自然と影響を受けて、日本文化とか芸術に惹かれたのかもしれません」

 そんな環境も手伝って、日曜美術館も自然と見てきた。

「ぼくの中では日曜美術館と大河ドラマは同じ立ち位置なんです。どちらも大きな看板を背負う、歴史と伝統を重ねている番組です。日曜美術館の視聴者のかたは、美術、芸術に精通しているかたも多く、その中で自分がどう伝えていけるのか、番組を始めた頃はプレッシャーもありました。

 しかし、回を重ねるうちに番組を見ている人たちは司会者がどうとかではなく、番組自体を愛していると思ったんです。そこで自分の役割は、これまで美術を知らなかった人に、新しい伝え方をすることなんじゃないかと思って」

 日曜美術館は、生放送と同じようなスタイルで収録される。番組内で流れるVTRをスタジオで見て、それについて作品や作家の魅力をゲスト解説者とともに、ひもといていく。台本はあるものの、番組内で語る言葉はすべて井浦本人が考えている。

「テーマが決まると、その作家や作品をぼくがどのように見ているか、スタッフと話し合って、それをもとに進行表や台本が作られるんです。でも、実際はライブです。ゲストと展覧会に足を運ぶロケのときは、フリートークになることもあります。個性的なゲストだったら、その人に関する質問ばかりしてしまうこともある(笑い)。

 台本通りに進んでいかない緊張感はあるけれど、自由度も高い。どうなるかわからないから日曜美術館は、まるでドキュメンタリー映画を撮っているような感覚なんです」

※女性セブン2013年12月19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン