“給食を時間内に全部食べきれなかったら、たとえ6時間目にかかろうとも、食べさせる”という学校は、今や少数派。ネット上には、「居残りまでさせて食べるのを強要するのは、おかしいのではないか」という母親の疑問の声があがるほど、それは“レア”なのだ。小学校教諭経験のある、塾講師は話す。
「何かというと、体罰、いじめ、という捉えられ方になりかねないのが現状です。何かセンセーショナルな事件が起きると、先生が皆そうだと思われるのでしょうか…。
今、私が教えている子のケースでは、学校で美術の時間の課題で、行きたいところか夢の国か、何かそういうテーマで絵を描くことになったと。それでその子が海賊の絵を描いて、帆の部分にドクロマークをつけたんですって。
そうしたら、わざわざ学校の先生から、家に『お宅の子は精神をちょっと病んでいるのではないか』というような話があったとか。ドクロマークが何かに触れたようです(笑)。万が一何かあったときに、“先生がサインを見逃していた”と思われるのを避けるためなのでしょうね」
先生が、皆「ビビっている」。
「給食については、アレルギー問題もあるので、“その子に合った”内容、ということには細心の注意を払うようになっています。アレルギーでもなく、嫌いなものについては親から事前に聞いたりして、少しずつ食べられるように仕向けていく努力をします。
これも、無理やり食べさせると、その指導が問題になってしまいます。
“同じ量でないと不公平”という考えは、もはやありません。
多くの学校では、量というより、質。主食・主菜を食べないのにデザートだけ食べる、ということがないようにするくらいです。
ただ、一方で、子供の間で“同じお金を払っているのに、○○ちゃんはたくさん食べていてズルい、といったような声もあがります。子供の口から給食費、という単語が出てくるのが驚きですが。もしかすると、家で、親が“お金払っているんだから、ちゃんと食べなさい!”などと言っているのかもしれません」
そもそも昔に比べて、給食の質はずいぶん良くなっているという。
「今はパンではなく、お米が当たり前。メニューもイタリアン風とか、韓国風とか、バラエティに富み、洒落たものも多いです。まあ、それを残すのは、贅沢な話ですけどね…。でも、栄養バランスが考えられすぎていて、煮物や炊き合わせなど、“おふくろの味”オンパレードで、子供のテンションが低いこともありますよ(笑)」