国際情報

チェルノブイリ原発 27年経ち石棺ひび割れ放射能漏れ大きく

 長野県の諏訪中央病院名誉院長でベストセラー『がんばらない』ほか著書を多数持つ鎌田實氏は、チェルノブイリの子どもたちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。昨年末、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所を訪れた際に知ったチェルノブイリの現状を鎌田氏が報告する。

 * * *
 昨年末、チェルノブイリに行ってきた。どうしても見たかったものがあった。チェルノブイリ原子力発電所のドームである。

 チェルノブイリ原発の石棺は事故から27年が経ち、ひび割れがひどくなり、2年前には原発から50メートルほどの所で、最大毎時18マイクロSV(シーベルト)が漏れていることが分かった。そこで日本やEUなどがお金を出し合って、石棺の上にドームを作って放射能を遮蔽するというプロジェクトが立ち上げられた。その進捗状況をこの目で見たかったのである。

 今回は爆発した4号炉の壁1枚隔てた3号炉の操作室まで入ることができた。ここは毎時29マイクロSV。目には見えないけれど、壁を伝わって放射能が漏れてくる感じがする。

 2015年、ドームの覆いが完成すれば石棺を壊すという。しかし高放射性廃棄物になるので、これをどこに捨てるかが再び問題になってくる。

 もう一つは、メルトダウンしてしまった燃料を取り出せるかどうかの問題。原発内を案内してくれた技術者に僕はその質問をした。

「私見ですが、取り出すことはできないでしょう。ずっとこのまま放射能が外に出ないように守っていくしかないのでは……」

 そう答えが返ってきた。

 福島第一原発に思いをはせる。福島も使用済み核燃料の処理ができたとしても、溶けてしまった核燃料を取り出すことが出来るのか──。万にひとつ、取り出せたとしてもそれを受け入れてくれる県があるかどうか。

 続けて僕は「ドームは何年持つのか」と聞いた。すると「100年持つ設計になっている」という。

 溶けてしまった核燃料は10万年近く管理が必要だ。100年ごとにドームを作っていかなければならないから、気の遠くなる話だ。

※週刊ポスト2014年1月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
ジャンボな夢を叶えた西郷真央(時事通信フォト)
【米メジャー大会制覇】女子ゴルフ・西郷真央“イップス”に苦しんだ絶不調期を救った「師匠・ジャンボ尾崎の言葉」
週刊ポスト
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
前回のヒジ手術の時と全く異なる事情とは(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャース先発陣故障者続出で急かされる「二刀流復活」への懸念 投手としてじっくり調整する機会を喪失、打撃への影響を危ぶむ声も
週刊ポスト
単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
NEWSポストセブン