ライフ

新しい保育制度 保育認定されても待機児童になる可能性が高い

 待機児童解消や保育の質の向上などを目的として、2015年4月から実施される新しい保育制度「子ども・子育て支援新制度」。この制度により何が変わるのか? また、問題点とは? 保育の問題に詳しいジャーナリストの猪熊弘子氏がリポートする。

 * * *
 親が働いている時の子供の預け先として、認可保育園のほか、新制度では幼稚園と保育園の機能を合わせた「認定こども園」がある。さらに、今は「認可外保育施設」である「小規模保育所」なども市区町村の認可保育施設になる。

 そのため、来年4月に入園を希望する人は、そういった新たな認可施設もすべて役所に申し込むことになるのだが、ここで問題は、認可外保育所の中には、東京都の「認証保育所」のように、新制度には入らないままのところもあることだ。

 そういった保育所には今まで通り、親が直接、園に申し込む必要がある。親は預けたい園が新制度に入るか入らないかを知っておく必要があるのだが、まだ入るかどうかが決まっていない園もあり、「保活」中の親にとっては、困った状況にあるのだ。

 いちばん大きく変わるのは、新制度の下で運営される施設に子供を預ける時に、「介護保険制度」の「介護認定」のような「保育認定(正式には支給認定)」を受けなければならなくなることだ。

 保育認定は、下表のように、子供の年齢や利用目的によって3区分5パターンに分けられる。1号(3~5才の幼稚園児相当)、2号(3~5才の保育園児相当)、3号(0~2才の保育園児相当)の年齢別3区分に加え、2号・3号は、親の働く時間によって「短時間」(1日8時間まで)「標準時間」(1日11時間まで)の2種類がある。

 ここで、特に問題があるのは「短時間」認定の人だ。1か月に最低48~64時間(自治体が決定)以上、120時間未満働いていれば「短時間」認定を受けられ、保育園に子供を預けることが認められる。しかし、保育園が足りない地域では、働く時間の長い「標準時間」の人が優先されるため、「短時間」の人は待機児になる可能性が高い。保育認定を受けられても、実際に保育園に預けられるかどうかは別問題なのだ。

 保育認定の等級が決まった後で、前回説明したように、役所が「ポイント」にしたがって入園できる施設を調整し、入園できるかどうかの通知が保護者に届く――いわば、親は保活で2段階のふるいにかけられることになるわけだ。しかし、保育認定をした時点で、行政はその人が保育を必要としていることを認めたことになるはずで、にもかかわらず保育園に入れないというのは、すでに制度は“破綻”をきたした状態と言えないだろうか。

※女性セブン2014年11月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン