ビジネス

シャープの経営再建 「液晶事業に依存する限り無理」と識者

 2012年度より2期連続で合計9000億円超もの巨額赤字を計上し、一時は存亡の危機に立たされていた電機メーカーのシャープ。

 以降、銀行の管理下に置かれてリストラを進めた結果、2014年3月期決算で3年ぶりに黒字となるなど、なんとか経営再建の道筋はできたかに思われたが、ここにきて再び“黄信号”が点っている。

 まだ発表前ではあるが、同社の高橋興三社長が2015年3月期の業績予想(300億円の黒字)について、「正直、しんどい」とマスコミ各社に語ったことから、再び赤字経営に転落するのでは? との見方が広がっているためだ。

 一体、シャープの経営内容はどうなっているのか。

「拡大路線で赤字経営の元凶となった欧州のテレビ事業や太陽電池事業からの撤退を決めるなど、不良資産の売却や整理を進めてきた。

 その一方で、全売上高の3分の1を占める液晶事業は、スマホ用の中小型パネルをメインに、米アップルや中国で台頭している小米科技(シャオミー)向けの生産を増やすなど売り上げアップを図ってきた。しかし、熾烈な価格競争で安定した収益を確保するのが難しくなっている」(全国紙経済部記者)

 もちろん、シャープは洗濯機や冷蔵庫といった白物家電も発売し、近年は「ともだち家電」といった家電どうしを通信で結ぶユニークな試みもしているが、「白物家電の多くが海外生産のため、急速な円安で業績の足を引っ張っている」(前出の記者)と、散々な状態に陥っている。

「結局、液晶事業に依存する“1本足打法”の限界が見え始めている」と指摘するのは、経済誌『月刊BOSS』編集長の関慎夫氏だ。

「他社に液晶パネルを供給する“部品メーカー”として生き残る道を選んだわけですから、完成品メーカーの需給バランスや市況の変化に振り回されるのは仕方のないこと。

 それよりも、これだけ格安スマホが市場を席巻し出している中、高精細な液晶パネル『IGZO』などで長期的な成長トレンドを見込もうとするのは難しいと思います」

関連キーワード

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
ソロとして音楽活動5周年を迎える香取慎吾
《ソロで音楽活動5周年》香取慎吾が語った「5人とは違って…」「もっとできるはずなのに」ソロで経験した“挫折” ライブツアーでは「パーフェクトビジネスアイドル」としてファンを沸かせる
NEWSポストセブン
13年ぶりの写真集『ふたたび』(双葉社)を5月30日に発売
小向美奈子 Xで「今年結婚します!」投稿の真意を本人に聞いた 今でも「年に1~2回くらいは求婚される」と語る彼女は“ダーリン”との未来予想図をどう描くのか
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
6月3日に亡くなった長嶋茂雄さんとの写真を公開した大谷翔平(公式インスタグラムより)
《さようなら長嶋茂雄さん》大谷翔平から石原裕次郎まで、誰からも愛された“ミスター”の人生をスターたちとの交流で振り返る 
女性セブン
沖縄を訪問される天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年6月4日、撮影/田中麻以)
《愛子さま 初めての沖縄ご訪問》ブルーのセットアップで母娘の“おそろい”コーデ再び! 雅子さまはくすみカラーで落ち着いた着こなしに
NEWSポストセブン
人気インフルエンサーがレイプドラッグの被害者に(Instagramより)
《海外の人気インフルエンサーが被害を告発》ワインに“デートレイプドラッグ”が混入…「何度も嘔吐し、意識を失った」「SIMカードが抜き取られていた」【オーストリア】
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
『激レアさんを連れてきた。』に出演するオードリー・若林正恭と弘中綾香アナウンサー
「絶対にネタ切れしない」「地上波に流せない人もいる」『激レアさんを連れてきた。』演出・舟橋政宏が明かす「番組を面白くする“唯一の心構え”」【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン