ビジネス

水素ステーション普及の解決策 「MIRAI」チーフエンジニアが語る 

 水素で発電する燃料電池車(FCV)・MIRAIはトヨタにとって、厳しい状況の中で企画立案された車だった。チーフエンジニアの田中義和がコンセプトを提案したとき、リーマン・ショックやリコール問題直後とあって同社は赤字会社に転落していた。

 しかもFCVは水素インフラとセットの社会提案型の製品であり、量産化には大きなリスクが伴う。計画そのものに否定的な意見もある中、MIRAIの開発は始まった。最も苦労したのはやはり燃料電池だ。

「我々は自動車会社ですから、機械系の課題であれば解決策はほぼ分かる。電気のシステムについてもハイブリッドを中心に成熟が進んできました。でも、水素というケミカルの分野となると、まだまだ分からないところがいっぱいありましたから」

 例えば、MIRAIは運転席の下部に二つの高圧水素タンクと燃料電池を置き、発電をしながら走る仕組みだ。MIRAIは約150馬力のパワーを出すが、これは家庭用の燃料電池の160倍。しかも自動車はそのパワーを瞬時に上げ下げできなければならない。

 トヨタは2008年、SUVのクルーガーをベースとしたFCVを日米でリース販売し、すでに200万km以上の走行実績があった。だが、それはあくまでも5年間限定リースの試作車であり、市販車では個体ごとの性能のブレは許されなかった。

「材料メーカーさんが均一だとしている試作の材料でも、車にしてみるとほんの少しの違いで劣化が速かったり、パワーが7割しか出なかったりと特性が変わってしまう。その原因を突き止めていくことを繰り返しました」

 そうして発売が決まったMIRAIの製造台数は一日当たり3台。来年には2000台、再来年には3000台の年間生産数を目標としているが、豊田が挨拶で述べたとおり「よちよち歩きの状態」からのスタートとなった。

関連記事

トピックス

永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「日本ではあまりパートナーは目立たない方がいい」高市早苗総理の夫婦の在り方、夫・山本拓氏は“ステルス旦那”発言 「帰ってきたら掃除をして入浴介助」総理が担う介護の壮絶な状況 
女性セブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン