国際情報

ウォルフレン氏 ヒラリー大統領誕生した場合の日米関係予測

将来の日米関係について語るウォルフレン氏

 30年以上にわたり日本政治を研究し数多くの話題作を発表してきたカレル・ヴァン・ウォルフレン氏(ジャーナリスト、アムステルダム大学名誉教授)は、日本は「真の独立国」になれないまま戦後70年を歩んできたと語る。日本と米国の関係から、日本人自身が「偽りの戦後」を乗り越えるために必要なことをウォルフレン氏が訴えた。

 * * *
 2009年当時の国務長官であったヒラリー・クリントン氏の果たした役割を見逃してはならない。彼女の時代に国務省にはペンタゴン(国防総省)出身者が数多く抜擢され、有力な役割を担うようになった。軍事大国主義を信じる彼らにとって、対中関係強化に動く民主党政権は捨て置けない存在だった。

 普天間基地の県外移設を鳩山政権が打ち出すと、アメリカの意を受けた官僚機構と大メディアは「日米関係が壊れる」という大合唱を起こし、窮地に追い込んだ。その後、民主党は内紛を起こして自ら崩壊していく。小沢一郎氏は党を追われ、民主党の最後の総理大臣となった野田佳彦氏は財務省とアメリカによる支配体制に自ら進んで逆戻りした結果、民主党の存在意義はなくなり政権を失った。

 そうした歴史を見ると、ヒラリー氏が2016年の米大統領選挙への出馬を表明したことにも警戒すべきだ。「軍事大国アメリカによる一強体制」を信じる彼女が大統領になれば、イランやロシア、中国との対立を深め、日本にはそれに従うよう求めてくるだろう。

 一方で興味深いのは民主党政権を崩壊に導いたアメリカが、自らの意向で作り出したはずの安倍政権と距離を置き始めていることだ。歴史認識問題で中国や韓国をことさら挑発する安倍晋三氏の言動をオバマ大統領は快く思っていない。

 4月末の訪米を前に安倍氏は、テレビ番組で戦後70年談話について「(村山談話にあったお詫びの文言を)もう一度書く必要はないだろう」とあえて明言した。偏屈なナショナリストを代弁する安倍氏をオバマ氏が冷淡に見ているのは明らかだ。昨年4月、来日したオバマ氏に安倍氏は宮中晩餐会とは別にわざわざ寿司をご馳走している。そうした歓待に比べると安倍氏の訪米の際の扱いは通り一遍のものに過ぎない。

関連記事

トピックス

釜本邦茂さん
メキシコ五輪得点王・釜本邦茂さんが語っていた“点取り虫”になる原点 “勝負に勝たなければならない”の信念は「三国志」に学んでいたと語る
NEWSポストセブン
雅子さまのご静養に同行する愛子さま(2025年8月、静岡県下田市。撮影/JMPA) 
愛子さま、雅子さまのご静養にすべて同行する“熱情” そばに寄り添う“幼なじみ”は大手造船会社のご子息、両陛下からも全幅の信頼 
女性セブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴行動画に批判殺到の花井組》社長らが書類送検で会社の今後は…元従業員は「解体に向けて準備中」、会長は「解体とは決まっていない。結果が出てくれば、いずれわかる」と回答
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
追悼 釜本邦茂さんが語っていた“理想の最期” 自身の両親のように「誰にも迷惑をかけず逝きたい」と話し、「葬儀ではマツケンサンバを」と笑顔で語る一幕も
NEWSポストセブン
ベッド上で「あー!」
《大谷翔平選手の“アンチ”が激白》「すべてのアンチに、アンチとしての覚悟を持ってほしい」地獄の応援芸・740km超えマラソンでたどり着いた“アンチの矜持”
NEWSポストセブン
猫愛に溢れるマルタでは、動物保護団体や市民による抗議活動が続いているという(左・時事通信フォト)
《深夜に猫地面にたたきつける動画》マルタで“猫殺し”容疑で逮捕の慶應卒エリート・オカムラサトシ容疑者の凶行と、マルタ国民の怒号「恥を知れ」「国外に追放せよ」
NEWSポストセブン
大神いずみアナ(右)と馬場典子アナが“長嶋茂雄さんの思い出”を語り合う
大神いずみアナ&馬場典子アナが語る“長嶋茂雄さんの思い出”「こちらが答えて欲しそうなことを察して話してくれる」超一流の受け答え
週刊ポスト
夜逃げした「郷土料理 たち川」に、食品偽装があったという(左はinstagramより、右は従業員提供)
「飛騨牛はホルスタイン、天然鮎は養殖モノ…」岐阜・池田温泉、町が委託したレストランで“食品偽装疑惑”「仕入れ先が減り、オーナー自らスーパーで割引の商品を…」【7月末に夜逃げしていた】
NEWSポストセブン
痩せる前のエヴィヤタルさん(インスタグラムより)
「弟はもはやガイコツ」「この穴は僕が埋葬される場所だろう」…ハマスが“人質が自分の墓を掘る”動画を公開し世界各国から非難噴出《飲まず食わずで深刻な飢餓状態》
NEWSポストセブン
本州に生息するツキノワグマ。体長120~180センチほど。最近では獣害の被害が増えている(イメージ)
《襲われる被害が多発》クマに悩まされる養蜂家たちが告白 「今年はあきらめるしかない…」「槍を作って山に入るヤツもいる」
NEWSポストセブン
デコラファッションで小学校に登校していたいちかさん、中学生となり衝撃の変貌を遂げていた…!
《デコラ小学生が衝撃の変貌》グリーン&ゴールド髪が“黒髪少女”に大転身「ほぼスッピンのナチュラルメイクで中学に登校する」意外な理由とは
NEWSポストセブン
昨年に第一子が誕生したお笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行、妻・沢井美優(右・Xより)
《渋谷で目立ちすぎ…!》オレンジ色のサングラスをかけて…ティモンディ・高岸、“家族サービス”でも全身オレンジの幸せオーラ
NEWSポストセブン