ビジネス

東芝の謝罪会見に「過去最低レベルと言っても過言でない」評

 2015年は有名企業の不祥事が相次いだ。12月7日、証券取引等監視委員会は一連の不正会計問題に絡み、東芝に過去最高の73億円の課徴金を科すよう金融庁に勧告した。同日の会見で、室町正志・社長は「二度とこのような問題を起こさない」と頭を下げたが、同氏の謝罪はこれが3度目だった。

 9月30日に臨時株主総会で頭を下げ、11月27日には米原子力子会社が行なった約1600億円にのぼる損失処理(2012~2013年度)を公表していなかったことが発覚して、またも謝罪した。元東京地検特捜部検事で企業のコンプライアンスに詳しい弁護士の郷原信郎氏の指摘だ。

「室町氏は不正会計が行なわれていた当時の会長でありながら、自らの責任については言及していない。そもそも不正会計問題の対応で中心的な役割を果たした第三者委員会の報告書自体、東芝の意向に従って問題の本質も責任の所在も誤魔化した中身のないものだった。社会的な説明責任を果たしていない東芝の対応は“過去最低レベル”と言っても過言ではない」

 業績への影響も深刻だ。2015年4~9月期決算では6年ぶりの営業赤字に転落。問題発覚前の今年5月初旬と比べ、株価は200円近くも下落した。

 謝罪を繰り返した点では東洋ゴム工業も同じだ。今年3月、同社が販売した国の基準を満たしていない免震ゴムが18都府県の病院やマンション55棟で使用されていたことが発覚した。

「これ以上拡大しない」

 発覚直後の会見で山本卓司・社長(当時)はこう明言した。だが、製品の交換が必要な対象物件は間もなく3倍近くに広がった。8月に入り、「他の製品に不正はない」と再びの安全宣言を出したのも束の間、10月には鉄道や船舶に使われる防振ゴムに性能データの改ざんが判明。翌11月、山本社長は辞任した。

「再発防止が図られたのか確証を持てないまま辞めたので、社長が“責任を放り出した”ように映りかねない」(企業のリスクマネジメントに詳しい専修大学教授の上田和勇氏)

※週刊ポスト2015年12月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン