ビジネス

東芝 社内で語られる再建策に「シャー芝ソニー(仮)」登場

 かつて世界を席捲した日本の電機・家電メーカーが2016年、業界再編の荒波に揉まれるのは必至の情勢だ。一連の不正会計問題で6年ぶりの営業赤字(2015年4~9月期)に転落した東芝は、経営再建のため7800人の人員削減を行なうと発表した。

 すでに半導体事業で約2300人の削減は発表されており、パソコン、家電部門でも人員削減が本格化する。電機業界に詳しいジャーナリスト・片山修氏の話だ。

「パソコンは富士通などと合弁会社の設立に向け交渉中で、テレビは生産撤退も視野に入れているが、遅きに失したのひと言に尽きる。他の国内電機メーカーは“失われた20年”の間に痛みを伴う事業整理を終えている。いまだ『総合電機メーカー』の看板を掲げる東芝だけが前世紀のビジネスモデルに固執していた」

 シャープは2015年9月、本社ビル(大阪市)をニトリに売却。同月末に3200人を超える大リストラを実施したが、10月の中間決算では最終損益が840億円の赤字(2015年4~9月期)に陥り、更なるリストラは避けられないと見られている。そこで浮上するのが先の見えない両社の合併話だ。

「シャープを支援する産業革新機構は同社の強みである液晶関連の技術が海外に流出することを嫌っています。今後、東芝の中核事業となるのは原発などインフラ関連の重電部門と見られ、液晶とソーラー関連技術に定評のあるシャープとは補完関係にある。同社のリストラが進めば、東芝とシャープの合併というウルトラCの救済策が浮上する可能性はあります」(経済ジャーナリスト・松崎隆司氏)

 両社ともに“自主再建”を目指してはいるものの、株主は待ってはくれない。「合併機運」が最高潮になるのは6月の定時株主総会となる。

 東芝は不正会計問題に絡み複数の株主代表訴訟を起こされており、紛糾は確実。業績回復を求める株主の突き上げも加われば、経営陣の退陣だけでは済まなくなる。“負け組”同士の合併でも得意分野に特化した新会社に生まれ変われば再生の道は開けるというわけだ。

「社内で語られる再建策にはもう1社登場します。大分工場の生産ラインの譲渡先で、1100人が転籍するソニーです。『移籍組』を羨む声は多く、ゲームと半導体で復活途上にあるソニーとも組みたいのが社員の本音です」(東芝社員)

 新会社「シャー芝ソニー(仮)」は不振にあえぐ弱者連合の最後のあがきに終わるか、それとも電機業界再編の起爆剤となるか──その結末はわからない。

※週刊ポスト2016年1月1・8日号

関連キーワード

トピックス

“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
ジャンボな夢を叶えた西郷真央(時事通信フォト)
【米メジャー大会制覇】女子ゴルフ・西郷真央“イップス”に苦しんだ絶不調期を救った「師匠・ジャンボ尾崎の言葉」
週刊ポスト
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
前回のヒジ手術の時と全く異なる事情とは(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャース先発陣故障者続出で急かされる「二刀流復活」への懸念 投手としてじっくり調整する機会を喪失、打撃への影響を危ぶむ声も
週刊ポスト
単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
NEWSポストセブン