スポーツ紙記者が続ける。
「千秋楽の支度部屋ではこんなシーンがありました。終盤で2連敗して優勝を逃した白鵬が、琴奨菊の優勝を横目に、サバサバした表情で“なんとか無事に終わった。気持ちが切れかけても自分なりに頑張れた”という言葉を残したんです。以前ならこんな負け方をしたら、不機嫌そうにダンマリを決め込んでいたのに」
白鵬は本当に「空気を読んで」優勝を譲ったのか。その答えは返って来そうにないし、そんなことがあってはならない。だが角界関係者の多くは、あの不自然すぎる終盤の“無気力”相撲の背後に、白鵬のある狙いを指摘する。
白鵬は将来、自分で部屋を興すことを目標にしている。親方株を取得しなければならないが、そのためには協会の現在の規定では、日本国籍が必要だ。
だが白鵬は帰化するつもりはなく、モンゴル国籍を有したまま特例で「一代年寄」を認めてもらうことを目指しているといわれる。そのため圧倒的な成績を残す必要があり、これまではどんなに批判されようと勝ちにこだわってきた。
「その裏には貴乃花親方への期待があった。北の湖前理事長、そして八角理事長は頑なに特例を認めようとしなかったが、革新派の貴乃花親方が理事長になれば認めてくれる可能性があるのではないかと望みをかけていたのです。
しかしここへきて、貴乃花親方も特例は認めないと、昨年末の雑誌のインタビューではっきり明言してしまった(『週刊文春』12月31日/1月7日号)。そうなるとファンの同情を誘って、“こんな功績を残したんだから特例を”という声を高めてもらうしか他に方法がなくなる」(前出のジャーナリスト)
NHKで解説を務めた舞の海氏が、千秋楽での中継中、意味深なコメントを残している。
「横綱はどうしちゃったんでしょうかねェ。引退後のことでも考えているんですかねェ」
※週刊ポスト2016年2月12日号