日本経済を「悲観論」が覆っているが、アメリカ経済との関係を見ても決して主従関係ではない。お互いになくてはならない相互補完関係にあるといっていい。
たとえば、米国を代表する企業であるアップルの看板商品、iPhone。1300点ともいわれる部品の半分以上は日本製で占められている。電気を一時的にためておくセラミックコンデンサを手がける村田製作所のほか、京セラ、TDKなど独自の技術を持つ日本企業なしではiPhoneは作れない。著名投資銀行家“ぐっちーさん”こと山口正洋氏がいう。
「村田製作所はもともと京都の伝統工芸である清水焼を手がけており、数百年に及ぶ焼き物のノウハウを蓄積して、それが応用されている。これは韓国や中国の部品メーカーがおいそれとマネできないキラーコンテンツであり、多少の円高になろうともアップルは買わざるを得ません。このような代わりの利かないモノづくりはまさに日本の強みなのです」
今や日本の最大の貿易相手国は中国だが、輸出額は今でも対米輸出が1位であるうえ、貿易黒字額も6兆円超と、日本にとってアメリカが一番のお得意様であることに変わりはない。
そして、アメリカが依然として世界最大の経済大国であり続けることを示すデータがある。最も目を引くのが、人口動態だ。
「アメリカの人口分布を見ると、最もよく働き、最も消費する30代層は2050年までは増え続ける。総人口は減っても生産消費層は増えるという日本とはまったく違う状況にあり、今後数十年、経済成長が続くのは間違いないでしょう」(山口氏)
アメリカの中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が3月の追加利上げを見送る公算が高く、アメリカ経済の行方を懸念する声も高まっているが、「足元の指標を見ると、そんなことはない」と山口氏は言い切る。
「新規住宅着工件数や自動車販売台数、あるいは失業保険申請者数、雇用者数などはいずれも好転しています」