国内

日教組と全教 どちらも左派的な主張だが違いも多い

主な主張や考え方の違い

 日本最大の教職員組合である「日教組(日本教職員組合)」と、そこから分離した共産党系の「全教(全日本教職員組合)」。どちらも左派的な主張を展開しているが、実は違いも多い。まず、日教組の加入者数は全国で約24万7000人で、全教は4万4000人だ。

 学校教育の現場では、毎年春、新人教員が入ってくると教職員組合への熾烈な“勧誘合戦”が繰り広げられる。西日本の組合非加入のベテラン教員が語る。

「うちは全教加入教員が多いが、2人だけ日教組の先生がいる。ある年に新人が入って、日教組の先生が飲みに誘い、新人に組合のチラシを渡した。そうしたら、翌日からは全教の教員たちがこぞって飲みに誘うようになった。新人は断れないから大変。このときは結局、全教の勧誘が勝った」

 公安関係者によれば、「新人のリクルートは以前は学校内でやっていたが、最近では校長などの目が厳しくなり、できなくなっている。舞台は放課後に移っている」という。

 日教組と全教が分裂したのは、1989年のこと。当時、日教組の連合(日本労働組合総連合会)加盟をめぐり、内部対立が激化した。その際、反主流派は「日教組は右転落した」という強い言葉で執行部を批判して分裂に至り、全教が誕生。全教は今、全労連(全国労働組合総連合)の中核組織のひとつとなっている。

 分裂当時、24県でも傘下県教組が分かれた経緯から、現在でも福井や山梨のように「日教組が圧倒的に強い県」、和歌山や島根のように「全教加入者が多い県」といった“地域色”がある。『日教組』の著書がある教育評論家の森口朗氏が語る。

「日教組と全教の方針には、数々の違いがあります。例えば支持政党。日教組は民進党支持です。全教は、表向きには支持政党はありませんが、実態としては共産党系と言えます」

 ほか、主な主張や考え方の違いを左上の表に示したが、両者に、相手方の考え方に対する意見を聞くと日教組も全教も「回答を控える」と口を揃えた。安保法制反対や参院選などで共闘した経緯があり、最近は両者の距離が近づいているからだろう。実際、近年では右表に掲げたテーマでお互いを厳しく批判しあう場面は見られない。それでも、新人勧誘の現場では毎春のようにバトルが繰り広げられる。

「どちらも加入率が下がっているから、必死だ」(冒頭のベテラン教員)

 その戦いに向けるエネルギーを、ぜひ子供たちに注いでほしい。

※SAPIO2016年9月号

関連記事

トピックス

2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
【追悼】釜本邦茂さんが語っていた“母への感謝” 「陸上の五輪候補選手だった母がサッカーを続けさせてくれた」
週刊ポスト
有田哲平がMCを務める『世界で一番怖い答え』(番組公式HPより)
《昭和には“夏の風物詩”》令和の今、テレビで“怖い話”が再燃する背景 ネットの怪談ブームが追い風か 
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
広島・広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《過激すぎる》イギリス公共放送が制作した金髪美女インフルエンサー(26)の密着番組、スポンサーが異例の抗議「自社製品と関連づけられたくない」 
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《交通事故で骨折と顔の左側の歯が挫滅》重傷負ったタレントの大東めぐみ「レギュラーやCM失い仕事ほぼゼロに」後遺症で15年間運転できず
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《事務所が猛反対もプロ野球選手と電撃結婚》元バラドルの大東めぐみ、人気絶頂で東京から大阪へ移住した理由「『最近はテレビに出ないね』とよく言われるのですが…全然平気」
NEWSポストセブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《借金で10年間消息不明の息子も》ビッグダディが明かす“4男5女と三つ子”の子供たちの現在「メイドカフェ店員」「コンビニ店長」「3児の母」番組終了から12年
NEWSポストセブン