国内

飲食店に喫煙室設置の新法案 BOXも置けない店は死活問題に

喫煙室設置に関する助成金制度の見直しも検討されている

 いまや愛煙家は、たばこを吸わない人に配慮しながら、喫煙場所自体を探すことも難しいご時世になったが、今後ますます肩身の狭い思いを強いられる可能性が出てきた。

 10月12日、厚生労働省が他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙防止対策」の一環として、喫煙可能な場所の規制を一層強める案をまとめたからだ。

 新しい厚労省案は、医療機関や小・中・高の学校は〈施設内禁煙〉、官公庁やスタジアム、大学などを〈建物内禁煙〉に、そして飲食店やホテル・旅館といったサービス施設、職場、駅、空港、バスターミナルなどは「喫煙室」の設置を認めたうえで、〈原則建物内禁煙〉に指定しようとするもの。早ければ来年の通常国会への法案提出準備を進めている。

 しかも、施設管理者のみならず利用者個人も対象に、違反者への罰則を設ける検討を始めるというのだから穏やかではない。喫煙者の常連客も多い飲食業界からは、早くも反発の声が挙がっている。

 東京都飲食業生活衛生同業組合の常務理事、宇津野知之氏がいう。

「たとえ電話ボックスタイプの簡易喫煙室であっても、店内に置くスペースすらない居酒屋やスナックだってたくさんありますし、かといって全面禁煙にしたら多くのお客さんを失い、廃業に追い込まれる店も出てくるでしょう。

 喫煙環境の変化が即、死活問題に発展する恐れがあるのです。弱者切り捨ての規制強化には断固反対です」

 もちろん、飲食業界も受動喫煙防止の取り組みそのものに異論を唱えているわけではない。

 同組合も「健康増進法」などで定められている受動喫煙防止の“努力義務”を徹底すべく、「時間分煙」、「(区画を分けた)空間分煙」ほか喫煙ルールやマナーを自主的に定めるよう組合員に促し、ステッカーの店頭貼付などを通じた客への啓蒙活動も積極的に行ってきた。

 かりに、厚労省案の通り法改正がなされれば、こうした飲食店の分煙努力も水の泡となり、喫煙室設置か店内完全禁煙かのどちらかを選択せざるを得なくなる。

 現在、厚労省をはじめ、自治体レベルでも喫煙所設置にかかる事業者の費用負担を減らそうと助成金制度を設けるところが増えたものの、法改正後の「受け皿」として十分に機能するかどうかは、じつに心もとない。

関連記事

トピックス

雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
国仲涼子が『ちゅらさん』出演当時の思い出を振り返る
国仲涼子が語る“田中好子さんの思い出”と“相撲への愛” 『ちゅらさん』母娘の絆から始まった相撲部屋通い「体があたる時の音がたまらない」
週刊ポスト
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン