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酒と相性の悪い鍋料理はキムチ鍋、理想的なのは湯豆腐

これからの季節、湯豆腐は最高

「酒は百薬の長」といわれるが、やはり飲み過ぎは健康によくない。では深酒にはどんな対処法があるのか。久里浜医療センター・臨床研究部長の横山顕氏が解説する。

「週3日“休肝日”を設ければ相当な量を飲んでも、病気などによる死亡リスクは上昇しないという研究結果が出ています。

 この研究の基準に照らすと、週に3日以上、酒を飲まない日を設ければ、残りの日は1日5合(日本酒換算で約1リットル)程度飲んでも死亡リスクは上昇しないことになる」

 酒の肴には“間違った常識”が罷り通っているという。長寿のための生活習慣などを指導する秋津医院の秋津壽男院長の話だ。

「ビールにはフライや天ぷらが合いますが、最近はヘルシー志向から鶏の唐揚げなどより、野菜の天ぷらやかき揚げを注文する人も増えています。しかし調理油の吸油率は唐揚げ0.5%に対し、野菜の天ぷら18%、かき揚げ35%と圧倒的に後者のほうが高い。油を大量に摂取すると胃の粘膜を傷つけ、そこにアルコールが加わることで、胃がんの発症リスクを上昇させます」

 同様に、カロリーが低いという理由で、ツマミに漬け物や塩辛などを選ぶ人も多いが、塩分を多く含んだツマミは胃がんや動脈硬化のリスクを上昇させる危険性がある。

 これからの季節は、鍋を囲んで一杯という場面が増えてくる。だが、これも酒と合わせると“毒”になるメニューがある。キムチ鍋を「酒との相性が悪い」と指摘するのは前出の秋津氏だ。

「キムチに含まれる香辛料は食道や胃の粘膜への刺激が強く、熱さも加わることで食道炎や胃炎を誘発する可能性があります。さらにダメージを受けた細胞はアルコールによってより傷つき、がん化するリスクも孕んでいます」

 逆に秋津氏が理想的とする鍋料理が湯豆腐だ。豆腐にはLシステインという代謝を促進するアミノ酸と、細胞膜を構成するレシチン(不飽和脂肪酸)が含まれており、飲酒による内臓へのダメージを減らす効果がある。また具材の白菜やネギなど、葉物野菜からは細胞の修復作用がある葉酸も摂取できる。

「ニラ玉も酒のツマミとして理想的です。ニラには葉酸が含まれており、卵にはLシステインの原料となるメチオニンが含まれています。メチオニンには肝臓の解毒力を高めアルコールの代謝を促す作用とともに、アセトアルデヒドの抑制作用もあります」

※週刊ポスト2016年11月25日号

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