今年7月に行なわれる東京都議選で小池新党の起こす旋風は既成政党を吹き飛ばすだろう。自民党も足元の婦人会の離反などで苦戦は必死だ。東京での自民党弱体化に拍車をかけているのが、いまや「自民党最大の選挙マシン」といわれる公明党の離反だ。昨年の都知事選および参院選の各党得票をベースに、本誌独自の現地取材による情勢分析を加えて会派別の獲得議席をシミュレーションした結果を紹介しよう。
【渋谷区】(定数2)
小池新党議席独占も
参院選の2人区は自民、民進が1議席ずつ分け合う無風区と呼ばれるが、都議選の2人区も自民党にとって最低1議席確保が確実な「指定席」とされてきた。
安倍首相も東京都連幹部に都議選の情勢を尋ねた際、「2人区は大丈夫だろう」と、1議席確保を楽観視していた。だが、都連幹部の見方は違った。「全然大丈夫ではありません」。そんな答えが返ってきたのだ。
最大の理由は公明票だ。国政選挙で自民党と選挙協力を組む公明党は、都議選でも独自候補を立てない1人区、2人区では主に自民候補を支援してきた。ところが、小池知事支持に回った都議会公明党は自民党との連立解消を宣言し、千代田区長選は「自主投票」を決めた。
自民党候補が小池系候補にトリプルスコアの大差をつけられて惨敗したのは、この公明票の離反が大きい。公明票が小池新党の候補に回れば、都議選の「2人区」でも自民党は大苦戦を免れない。
本誌調査では、渋谷区と台東区に小池新党が2人の候補を立てた場合、2議席目を自民党現職と争い、「議席独占」の可能性もある。
「渋谷区の自民党現職は1期目の新人で地盤が弱い。自民党の渋谷区議には、次の次の都議選出馬を狙っている議員が多く、とってかわりたいから応援に力が入っていない」(自民党選対関係者)
公明党離反の影響は三鷹市、小平市、府中市の2人区にも現われている。小池新党の1議席確保が有力で、2議席目を自民と民進が争う展開で、自民落選が相次ぐ事態もありうる。国政でも、都政でも、自民党1強体制が実は「公明票」に大きく依存していることを示している。
※週刊ポスト2017年3月24・31日号