旧正月の祭りなどの穏健なイベントに混じって、尖閣諸島(釣魚島)問題への抗議声明や抗日戦争勝利記念集会といった「反日」的な活動も目立つ。他にも台湾の独立反対、南シナ海の島嶼の領有声明など、中国政府寄りのイデオロギーを掲げる運動が多い。
2018年12月9日には、カナダ東部のトロント市郊外に洪門の現地支部らが南京大虐殺記念碑を設置した。洪門は過去、日中戦争の際に北米の同胞から多額の愛国募金を集めた歴史もある。もともと対日感情が悪い組織でもあるのだ。
「見ろ。俺がいるぞ」
多数の中国国旗。「打倒日本軍国主義」と書かれた横断幕を前に、ヒルバートが演説のマイクを握っていた。他にも多くの現場写真に彼と仲間たちの姿があった。
「カナダ華人の歴史は長い。ゆえに、先祖の代から暮らす人、20世紀末以降に香港から移民した人、今世紀に中国大陸から移民した人では、考え方も言語(方言)も違う。そんな同胞をまとめるのが、『愛祖籍国』活動だ」
彼はそう胸を張った。
◆反日華人議員を支援
多様性を重視する移民国家・カナダは、約136万人の華人系住民を抱える。永住権保有者らを含めれば数百万人の中国人が暮らし、西側先進国では米国に次ぐ規模だ。総人口(米:約3.3億人、加:約3670万人)に占める比率で見れば、カナダでの華人の存在感は「世界一」と言っていいほど高い。
昨年12月に中国IT大手ファーウェイの孟晩舟CFOがバンクーバーで逮捕された背景にも、中国富裕層とカナダの密接な関係がある。