カナダでは地方政治だけではなく、国家レベルでも南京記念日制定の動きが出ている。
2018年4月、バンクーバー東部に地盤を置く香港系の連邦議員ジェニー・クアン(関慧貞)がカナダ国会に記念日制定法案を提起。こちらは否決されたが、私の取材中の2018年12月にも、彼女は首都オタワで法案制定を呼びかける大規模集会を開き怪気炎を上げた。
取材した限り、BC州議のテレサは南京問題にそこまで積極的ではなかったが、連邦議員のジェニーは法案成立を政治活動の中心に位置付けている。彼女がバンクーバー近辺で集めた、法案制定を求める署名は3万人にも及んだ。
現地の台湾系コミュニティの代表者が証言する。
「華人の対日歴史問題追及運動の全国組織『カナダALPHA』(*2)の幹部たちが、ジェニーの主要な支持者として長年食い込んでいる。彼女が南京問題について非常に積極的なのは、その影響を強く受けているためだ」
(*2:米国サンフランシスコに本部を置く、華人系運動団体。過去20年間にわたり『ザ・レイプ・オブ・南京』を北米でベストセラーに押し上げる、韓国系住民と共闘して慰安婦像を設立するなどさまざまな活動をおこなっている。バンクーバーに拠点を置くカナダALPHAはカナダ国内の全国組織を自称している)
加えて、ジェニーの背後にも洪門がいる。彼女の公式ホームページ(中国語版)や現地紙からは、法案制定運動の前にバンクーバーやモントリオールなど各地の洪門支部を訪問したことが確認できる。
のみならず、BC州議だった2004年から、現地の洪門組織と北京の中国致公党との交流イベントに出席している。洪門とは10年以上の縁だ。