ビジネス

森永卓郎氏「政府・日銀が円高止めようと思ったらすぐできる」

現在の円高の要因として、多くのメディアは米国で小売りや住宅などの指標が悪化していることなど、米国経済の先行き懸念が強まっていることを挙げている。しかし、「それが正解ではない」というのは、経済アナリストの森永卓郎氏だ。以下、森永氏が解説する。

******************************
現在の円高の本当の要因は、日本国内の資金供給が圧倒的に不足していることに他なりません。リーマン・ショック以降、米国は資金供給量(マネタリーベース)を2.2倍にし、EUは1.5倍にしている。それに対して、日本は1割程度しか増やしていないのです。

かたやドルはジャブジャブに溢れている状態に対して、円はほんの少し増えただけで、円が少ないので円高になっている。まさに経済理論通りのことが起こっているだけなのです。

したがって、政府・日銀が円高を止めようと思ったら、すぐにも止められるのです。具体的には、日本政府がドル買い介入を行なって対価の円資金を供給し、そのまま市場に放置する「非不胎化介入」が考えられます。あるいは、日銀が国債の買い切りオペレーションを増やすなどして、円資金の供給を増やせばいいのです。

ところが、実際の政策を見ると、9月15日に1ドル=82円台に突入したのを契機に、ようやく円売りドル買い介入こそ実施したものの、これはドル買いで生まれる円資金を日銀が回収してしまう「不胎化介入」になる可能性が高いので、一時的効果しかありません。

その意味で今回の介入はアリバイ作りに近く、むしろ85円程度の円高水準にお墨付きを与えたようなもの。つまり、政府・日銀の無為無策こそが今の円高の根本原因なのです。

※マネーポスト2010年11月号

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン