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森永卓郎氏「政府・日銀が円高止めようと思ったらすぐできる」

現在の円高の要因として、多くのメディアは米国で小売りや住宅などの指標が悪化していることなど、米国経済の先行き懸念が強まっていることを挙げている。しかし、「それが正解ではない」というのは、経済アナリストの森永卓郎氏だ。以下、森永氏が解説する。

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現在の円高の本当の要因は、日本国内の資金供給が圧倒的に不足していることに他なりません。リーマン・ショック以降、米国は資金供給量(マネタリーベース)を2.2倍にし、EUは1.5倍にしている。それに対して、日本は1割程度しか増やしていないのです。

かたやドルはジャブジャブに溢れている状態に対して、円はほんの少し増えただけで、円が少ないので円高になっている。まさに経済理論通りのことが起こっているだけなのです。

したがって、政府・日銀が円高を止めようと思ったら、すぐにも止められるのです。具体的には、日本政府がドル買い介入を行なって対価の円資金を供給し、そのまま市場に放置する「非不胎化介入」が考えられます。あるいは、日銀が国債の買い切りオペレーションを増やすなどして、円資金の供給を増やせばいいのです。

ところが、実際の政策を見ると、9月15日に1ドル=82円台に突入したのを契機に、ようやく円売りドル買い介入こそ実施したものの、これはドル買いで生まれる円資金を日銀が回収してしまう「不胎化介入」になる可能性が高いので、一時的効果しかありません。

その意味で今回の介入はアリバイ作りに近く、むしろ85円程度の円高水準にお墨付きを与えたようなもの。つまり、政府・日銀の無為無策こそが今の円高の根本原因なのです。

※マネーポスト2010年11月号

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