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異常な円高 国民が政府の無策を許すとは思えぬと森永卓郎氏

 1995年以来という「15年ぶりの円高」となっているが、はたしてどこまで円高は進むのか? 経済アナリストの森永卓郎氏によると、「円高がいつまでも続くことはあり得ない」という。以下、森永氏の解説。

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 慶應義塾大学の深尾光洋教授は、「いまの円はバブルを引き起こしている」とまで言い切っています。私も、まさにそのとおりだと思っています。
 
 米欧景気への先行き不安から、行き場を失った世界の投資マネーがリスクを避ける傾向を強めて、不安材料が比較的少ない円にどんどん集まっており、それが円高を加速させている。それを政府・日銀の無為無策が助長したというのが現在の構図です。しかし、経済学が学んだ最大の教訓は、「バブルは必ず崩壊する」ということです。このまま円高を放置して、円を上げるだけ上げたら、バブルが崩壊した時の反動はとても大きくなるでしょう。

 とはいえ、円高の影響で製造業が倒産や廃業してしまえば復活することはできませんし、一度海外に出て行った工場が戻ってくることもほとんどありえません。だから、早い段階でバブルを鎮静化させないと、日本経済が恐慌状態に陥ることさえ心配されます。

 ただし、私は、そこまで酷い状態に陥ることはないと考えます。異常な円高がいつまでも続くことはありえない。何といっても、日本国民が政府の無為無策をいつまでも許すとは思えないからです。だからこそ、6年半ぶりとなる為替介入も実施されたのです。為替相場もいずれ、適正値に戻ると思います。

※マネーポスト2010年11月号

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