日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
2024年2月、NHK Eテレ『はなしちゃお!〜性と生の学問〜』で、性器崇拝をテーマにした特集が放送され、反響を呼んだ。そんな番組内で、日本各地に残る性器を祀る祭りを淡々と紹介していたのが深沢佳那子さんだ。
自らを好事家(こうずか)と名乗る、あくまで在野の観察者だ。かつては研究の道を志したものの、ある時期に一度は「足を洗った」という彼女。なぜ再び、この奇妙な世界へ引き戻されたのか。その不可解な半生と、終わらないフィールドワークについて話を聞いた──。【前後編の前編】
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──どうして性器崇拝にハマったのでしょう。もともとはアカデミックな畑の出身だと聞いています。
「そうですね、もともとは大学院で上代文学、つまり『古事記』とか『日本書紀』を研究していたんです。特に日本神話の中に出てくる『性器の描写』について論文を書いていて。毎日、何百年も前の文字面と睨めっこしている日々でした。
そんななかで、『気晴らしに、実際のお祭りでも見ておくか』くらいの軽い気持ちで現場に行ったのが始まりです。最初に行ったのが、伊豆の『どんつく祭』。男性のシンボルである御神体を『ドン!と突く』からどんつくなんですけど(笑)」
