国際情報

リンドバーグが「行方不明」だった時国後島を訪問していた

1927年に大西洋単独無着陸飛行に成功したチャールズ・リンドバーグは、その後北方領土に不時着したことをご存知だろうか? リンドバーグが後に「言葉は通じなかったが、彼らのお辞儀と微笑は実に奥ゆかしいもてなしだった」と記した史実は以下の通りだ。

******************************
1931年8月24日、北海道・根室は街中に興奮が渦巻いていた。4年前に大西洋の単独無着陸飛行を成功させたリンドバーグ大佐とアン夫人の操縦する水上機・シリウス号が、根室港に着水したからである。

だが、その前日にシリウス号と根室無線局との交信が途絶え、約14時間にわたって“行方不明”になっていたことはあまり知られていない。リンドバーグ夫妻が不時着したのは北方領土の国後島だった。後にアン夫人が記した手記を紐解くと、こんな記述がある。

「根室を目指したが濃霧で方角を見失い、わずかな雲の切れ間から湖が見えたので降り立った。岸に近づいていくと、一人の老人が小舟を漕いで私たちを迎え、小屋に案内してくれた。英語で『ここはどこ?』と問いかけても、老人は一礼をして微笑むばかりだった」

夫妻は持っていた地図を見せた。すると老人は、北海道に近い島を指した。夫人が「クナシリ?」と聞くと、老人は笑顔を見せて大きく頷いた―。この日、夫妻は漁師小屋で暮らす老人と少年に芋と魚の煮物、米飯を振る舞われ、天候が回復するまで14時間ほど滞在した。そして別れの時、夫妻は覚えたての「ありがとう」を繰り返し、根室に向けて飛び立っていったのだった。

※週刊ポスト2010年11月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン