国内

佐藤優氏 日本の対露外交司令官の「呑気発言」聞いて絶句する

 日本国家を守るため、「外交の現場」は適切に機能しなければならない。しかし、ロシアとの北方領土問題での外務省の動きを見て、元外交官・佐藤優氏は「相手の『シグナル』を読み解けていない」と警鐘を鳴らす。

******************************
 メドベージェフ大統領が国後島を訪問したことを知った直後の外務官僚の反応は悲惨だった。

 11月1日午前のオフレコ懇談で、外務省の小寺次郎欧州局長は、記者から「局長は、大統領が北方領土に行くことはないと判断していたではないか」と詰め寄られたのに対し、「常識的に考えればないだろうと判断していた。私の判断が間違いか、ロシアの常識がおかしいのかわからないが、結果として北方領土に行かないという判断は間違えていた」と釈明した。

 さらにこのオフレコ懇談で小寺局長は、大統領がこの時期に北方領土を訪問した理由について、「単純な判断でしょう。(ベトナム公式訪問の)ついでだから。前々から行くと言っていたわけだから、ついでだから行っちゃおうということだったのではないか」と述べた。

 筆者は政治部記者からこの話を聞いて唖然として、しばらく言葉が出なかった。欧州局長は、対露外交の司令官だ。
 
 戦場で兵隊一人が馬鹿だとしてもそいつが弾にあたって死ぬだけだが、司令官の能力が低いと部隊が全滅する。このような基本的判断を誤る輩が対露外交のトップだと外務省のロシア担当部隊がそう遠くない時期に全滅する。
 
 今回、ロシアはインテリジェンス・マシーンを最大限に活用し、大統領が北方領土を訪問した時の日本政府の反応について探りを入れた。その結果、「尖閣諸島問題で、日本外交の基礎体力が如実に落ちているから、今ならチャンスだ」と考え、この時期に訪問を決行したのである。

 どうも外務官僚には、ロシア外交の常識が理解できていないようだ。ロシアは帝国主義国だ。まず相手国の立場など考えず、自国の要求を最大限に突きつける。それに対して、国際社会がロシアに批判的になれば、妥協し、国際協調に転じる。相手国が、間抜けな態度をとっているとそこに付け込んで、ロシアの権益を最大限に拡大する。その意味で、ロシアは帝国主義国の「文法」に従って忠実に行動しただけなのだ。

※SAPIO2010年12月15日号

関連記事

トピックス

無期限の活動休止を発表した国分太一
「給料もらっているんだからさ〜」国分太一、若手スタッフが気遣った“良かれと思って”発言 副社長としては「即レス・フッ軽」で業界関係者から高評価
NEWSポストセブン
ブラジル訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《クッキーにケーキ、ゼリー菓子を…》佳子さま、ブラジル国内線のエコノミー席に居合わせた乗客が明かした機内での様子
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン
”アナウンサーらしくないアナウンサー“と評判
「笑顔でピッタリ腕を絡ませて…」元NMB48アイドルアナ・瀧山あかねと「BreakingDown」エース・細川一颯の“腕組み同棲愛”《直撃に「まさしくタイプです(笑)」》
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《TOKIO・国分太一が無期限活動休止》「演者とスタッフは“独特の距離感”だった」関係者が明かす『鉄腕DASH』現場の“特殊な事情”
NEWSポストセブン
グラビアのオファーも多いと言われる中川安奈アナ(本人のインスタグラムより)
《SNSで“インナーちらり笑”》元NHK中川安奈アナが森香澄の強力ライバルに あざとキャラと確かなアナウンス技術で「ポテンシャルは森香澄以上」との指摘
週刊ポスト
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《スタッフに写真おねだりか》TOKIO・国分太一は「コンプライアンス上の問題行為が複数あった」…日本テレビに問い合わせた結果
NEWSポストセブン
不倫が報じられた錦織圭、妻の観月あこ(Instagramより)
《錦織圭・モデル女性と不倫疑惑報道》反対を押し切って結婚した妻・観月あことの“最近の関係” 錦織は「産んでくれたお母さんに優しく接することを心がけましょう」発言も
NEWSポストセブン
お疲れのご様子の雅子さま(2025年、沖縄県那覇市。撮影/JMPA) 
雅子さまにささやかれる体調不安、沖縄訪問時にもお疲れの様子 愛子さまが“異変”を察知し、とっさに助け舟を出される場面も
女性セブン
不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《美女モデルと不倫》妻・観月あこに「ブラックカード」を渡していた錦織圭が見せた“倹約不倫デート”「3000円のユニクロスウェットを着て駅前チェーン喫茶店で逢瀬」
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
インドのナレンドラ・モディ首相とヨグマタ・相川圭子氏(2023年の国際ヨガデー)
ヨグマタ・相川圭子氏、ニューヨーク国連本部で「国際ヨガデー」に参加 4月のNY国連協会映画祭では高校銃乱射事件の生存者へ“愛の祝福”も
NEWSポストセブン