ビジネス

年間マイカー維持費はタクシー初乗り1100回分との試算

 持ち家と並ぶ、サラリーマン人生の「2大出費」がマイカーだ。車の維持コストが家計に重い負担をかけていると指摘するのは、「家計の見直し相談センター」の藤川太氏(ファイナンシャルプランナー)だ。

「まず、年間の維持費がバカになりません。そのうえ、住宅とは違って6年ほどで次々に買い替えていくものなので、高価な車種に乗っていなくても、マイカーにかかる費用は生涯で3000万円を超える。つまり家が一軒建つほどの出費になる、とんでもない“カネ食い虫”なのです」

 平均的なマイカー(200万円)を購入した場合、年間のコストはいくらなのか。藤川氏に算出してもらった。

 車体の費用200万円を、60回払いのローンで払うとすると、月々3万5000円で年間42万円。駐車場代は月1万円として年間12万円(ただし、都心部なら月3万円は下らない)。これらに加え、車検代(1年あたり7万5000円)、保険料(5万円)や自動車税(3万4500円)は、車に乗らなくても毎月かかるコストだ。

 さらに、ガソリン代、エンジンオイルやタイヤ交換といった整備費用、高速代や外出時の駐車場代がかかる。これらは乗らなければ抑えられる費用だが、平均的にはこれだけで17万6000円。マイカーを維持するためだけに年間80万円以上が消えているのだ。

「これだけの費用をかけても、よほどの稀少車でない限り、資産にはなりません。まだ十分に動く5年落ちの乗用車でも、下取り価格はタダ同然になってしまう。場合によっては、マイカーを持たずタクシーやレンタカーを使う方が経済的です」(藤川氏)

 マイカーにかかる年間80万円があれば、たとえば東京の場合、タクシー初乗り710円なら年間1100回以上、つまり2km以下の近距離なら毎日3回以上も乗れる計算になる。3kmほどをマイカー通勤しているのなら、同じ距離のタクシー料金は1500 円程度。80万円あれば、年間270回乗ってもおつりがくる。これなら平日はほとんどタクシーで通勤できることになる。

 休日に旅行やレジャーで車を使う場合も、レンタカーで十分だ。小型車なら年間100日程度借りることができる。

「地方など、どうしても生活に自家用車が必要ならば、軽自動車への乗り換えをおすすめします。エコカーも燃費がいいですが、車体費用や税金を考えるとまだ軽自動車のコストの方が低い」(藤川氏)

 いまはマイカーを持たない30代以下の世代が増えているが、これは極めて現実的な選択といえる。旧来の常識にとらわれず、固定資産の見直しを進めてほしい。

※週刊ポスト2010年12月10日号

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン