国内

都育成条例 改正案賛成論者は親の不安をあおっている

 12月15日に都議会を可決した、「都青少年健全育成条例」の改正案。過激な性的表現などを含む漫画を対象に、18才未満への販売を規制するこの条例だが、漫画家や出版業界だけでなく、日本ペンクラブや日本弁護士連合会などさまざまな団体が猛反発。漫画家のちばてつやさんは、11月29日に都庁で開いた記者会見で、こう訴えた。

「こういうものを描けば流通を規制されると思えば、描き手の側が萎縮してしまう。漫画やアニメ文化がしぼんでしまうのではないかと心配している」

 漫画家の里中満智子さんは、過激な性表現を子供に見せたくないという親たちの気持ちに理解を示しつつも、こう反論する。

「今回の問題は、“過激なシーンがごく当たり前に見られる状態にある”と誤解されている点にあります。改正案に賛成する人たちは、ものすごいシーンのページを開いて“こんなものが世の中に蔓延している”などといって親の不安をあおっている。ですが、実際は業界の自主規制によるゾーニングで、書店の棚は分けられているし、身分証明書がなければ買えません。現状で不充分なら、それをもっと徹底すればいいだけの話なのです」

 事実、既存の条例でも不健全図書を指定することができる。また、出版4団体で構成する出版倫理協議会では、第三者機関であるゾーニング委員会を設置。18才未満が読むには不適当なきわどい性表現のあるものに関しては、「成人向け」と表示、グレーゾーンのものも中身が開けないようにシールどめし、成人コーナーに陳列されるように自主規制を行っている。小口シールどめされる雑誌は月2000万冊にも及ぶという。山口貴士弁護士がいう。

「都が不健全図書に指定する冊数は減少し、非常に少ない。ゾーニングが機能しており、条例を改正する必要性がありません」

 また評論家で日本マンガ学会会長の呉智英さんもいう。「学校や家庭、小売店が自主的に規制すればいいことを、行政がやるのはおかしい。親も行政に取り締まってもらおうと考える前に、自分たちで教育しなければいけないことを認識すべきだ」

 議論されることはまだまだあるはずなのに、条例は12月15日成立した。

※女性セブン2010年12月31日・2011年1月1日号

関連キーワード

トピックス

ヘアメイク女性と同棲が報じられた坂口健太郎と、親密な関係性だったという永野芽郁
《「めい〜!」と親しげに呼びかけて》坂口健太郎に一般女性との同棲報道も、同時期に永野芽郁との“極秘”イベント参加「親密な関係性があった」
NEWSポストセブン
すべり台で水着…ニコニコの板野友(Youtubeより)
【すべり台で水着…ニコニコの板野友美】話題の自宅巨大プールのお値段 取り扱い業者は「あくまでお子さま用なので…」 子どもと過ごす“ともちん”の幸せライフ
NEWSポストセブン
『週刊文春』からヘアメイク女性と同棲していることが報じられた坂口健太郎
《“業界きってのモテ男”坂口健太郎》長年付き合ってきた3歳年上のヘアメイク女性Aは「大阪出身でノリがいい」SNS削除の背景
NEWSポストセブン
2泊3日の日程で新潟県を訪問された愛子さま(2025年9月8日、撮影/JMPA)
《雅子さまが23年前に使用されたバッグも》愛子さま、新潟県のご公務で披露した“母親譲り”コーデ 小物使い、オールホワイトコーデなども
NEWSポストセブン
卒業アルバムにうつった青木政憲被告
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「ごっつえーナイフ買うたった 今年はこれでいっぱい人殺すねん」 被告が事件直前に弟に送っていた“恐怖のLINE”
NEWSポストセブン
独走でチームを優勝へと導いた阪神・藤川球児監督(時事通信フォト)
《いきなり名将》阪神・藤川球児監督の原点をたどる ベンチで平然としているのは「喜怒哀楽を出すな」という高知商時代の教えの影響か
週刊ポスト
容疑者のアカウントでは垢抜けていく過程をコンテンツにしていた(TikTokより)
「生徒の間でも“大事件”と騒ぎに…」「メガネで地味な先生」教え子が語った大平なる美容疑者の素顔 《30歳女教師が“パパ活”で700万円詐取》
NEWSポストセブン
西岡徳馬(左)と共演した舞台『愚かな女』(西武劇場)
《没後40年》夏目雅子さんの最後の舞台で共演した西岡徳馬が語るその魅力と思い出「圧倒されたプロ意識と芝居への情熱」「生きていたら、日本を代表する大女優になっていた」
週刊ポスト
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン