ビジネス

利回り15~20%で大人気! 「通貨選択型ファンド」って何だ?

 2010年の投資信託業界で大人気だったのが、ブラジルレアル建てを中心とする「通貨選択型ファンド」。2011年も人気が続くと見られるこの種類のファンドの仕組みをリッパージャパンのファンドアナリスト、篠田尚子氏がわかりやすく解説する。

 * * *
 2010年の投資信託業界は、カテゴリー別ファンドの販売状況に大きな差が見られた。株式市場の低迷を反映してか、株式を組み入れた株式型やミックス型ファンドが不振だった一方、通貨選択型と呼ばれるファンドが圧倒的な人気を集めた。

 10月までのカテゴリー別における資金流出入ランキングの上位をほぼ独占するとともに、発売から2年足らずで純資産残高の合計が6兆円を超える大ヒットとなっている。
 
 通貨選択型ファンドの第1号は、2009年1月に設定された『野村米国ハイ・イールド債券投信(ブラジルレアルコース)毎月分配型』だ。この商品名からもわかるように、通貨選択型は、表面利回りの高い外国債券(ハイイールド債)に投資するタイプが多い。そのため、『グローバル・ソブリン・オープン』(通称・グロソブ)のような外債ファンドと、一見似ている。

 しかし、従来の外債ファンドが投資対象の債券の利回りだけを狙うのに対して、通貨選択型ファンドは、運用する通貨も選び、その通貨の金利差も得られる点が大きく違う。

 例えば、米国の社債に投資するファンドなら、通常は米ドル建てで運用し、インカムゲイン(金利収入)は債券の利回り分だけ。だが、ブラジルレアル建てにすれば、レアルの高金利を上乗せできる。つまり、債券と通貨の2つの金利を享受できるのだ。そのため、15~20%の利回りに達する分配金を得られるファンドも珍しくない。こうした特徴から、通貨選択型ファンドは、「ダブルデッカー(2階建て)ファンド」と呼ばれている。

 したがって、選択される通貨もブラジルレアル、豪ドルといった高金利通貨の人気が高い。中でも、ブラジルレアルの人気はずば抜けており、通貨選択型の6割以上を占めるほどだ。

 2008年にブラジルのソブリン格付けが投資適格級に格上げされて以降、投資対象としての魅力が急速に高まった。ブラジル政府による断続的な利上げにより、政策金利は10.75%(12月時点)もの高水準。また、ブラジル政府は、レアルの取引に規制をかけており、事実上、FX(外国為替証拠金取引)や外貨預金で投資できない。その結果、レアルに投資する手段として、レアル建て通貨選択型ファンドが選ばれているともいえる。

※マネーポスト2011年1月号

関連記事

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
日米通算200勝を前に渋みが続く田中
15歳の田中将大を“投手に抜擢”した恩師が語る「指先の感覚が良かった」の原点 大願の200勝に向けて「スタイルチェンジが必要」のエールを贈る
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン
保育士の行仕由佳さん(35)とプロボクサーだった佐藤蓮真容疑者(21)の関係とはいったい──(本人SNSより)
《宮城・保育士死体遺棄》「亡くなった女性とは“親しい仲”だと聞いていました」行仕由佳さんとプロボクサー・佐藤蓮真容疑者(21)の“意外な関係性”
NEWSポストセブン
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト