ドラムスティックを持ち、笑顔を見せる韓国の李在明大統領(左)と高市早苗首相[内閣広報室提供](時事通信フォト)
李在明・韓国大統領を迎えての首脳会談は、海外から訪れるにはちょっと不便な奈良で実施された。空港からも遠く、警備の面でも東京や大阪で行うよりも配慮することが多いだろう奈良で実施することに、どんな狙いがあったのか。臨床心理士の岡村美奈さんが、自分のテリトリーでの首脳会談実施と、続けて行う予定の衆議院解散総選挙に高市首相がどんな期待を込めているかについて分析した。
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韓国の李在明(イジェミン)大統領を迎えた日韓首脳会談は、1月13日、高市早苗首相の地元・奈良県で行われた。到着したホテルの玄関で出迎えた高市首相の満面の笑顔に、戸惑うような表情を見せた李大統領だが、首脳会談での共同記者会見終了後のサプライズでは満面の笑顔だった。
首相の地元で首脳会談が行われるのは初めてのことではない。2016年には安倍晋三元首相が日露首脳会談を地元・山口県で行い、プーチン大統領が山口を訪れている。米トランプ大統領は、自身のフロリダにある別荘で各国首脳との会談を行っている。地元やホームグラウンドに相手を招くのは、自分のテリトリーに相手を引き入れることになるため、心理的な優位性を得るだけでなく、相手に特別な客としておもてなしされているという感覚を与えることができる。
奈良県は高市氏の出身地でありホームグラウンド。自民党総裁選に立候補した際は、奈良公園のシカが外国人観光客に蹴られていると発言し、総裁選候補者演説会では万葉集の和歌を高らかに歌い上げていた。万葉集の和歌が詠まれた当時、政治の中心は奈良の平城京。高市氏にとって奈良は、ほかの都市よりも熟知し愛着のある場所だったのだろう。どこよりも見知った場は緊張を和らげるし、応援してくれる有権者や協力してくれる組織の多さは心強さと自信につながる。
そこで訪れたのは、その建築技術に朝鮮半島の影響が残り、朝鮮半島から伝わった仏教文化を伝えてきたという法隆寺。今回は日中関係が冷え込んでいることもあり、韓国との良好な協力関係の確立は高市政権にとって重要事項だ。初めて奈良に訪れた韓国首脳と一緒に法隆寺を訪れたのは、現存する世界最古の木造建築という歴史的価値よりも、長く続いてきた日韓の協力関係を、奈良出身の高市氏と共に再認識させるという意味があったのだろう。
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