国内

安くて嬉しい!万歳!に喝! デフレは日本を完全に破壊する

 政界から財界まで、幅広い“信者”を持つ経済予測のエキスパートとして、その道では広く知られた菅下清廣氏が、日本が陥ったデフレスパイラルのメカニズムを解説する。

 * * *
 日本人は、どちらかというとインフレとかバブルという言葉にネガティブなイメージを持ちますが、実際にはデフレこそ最悪です。もちろん経済にはあらゆる現象に良い面と悪い面があり、そもそも「良いか悪いか」という二元論こそ意味がないのですが、今のような長期間にわたるデフレに関しては、日本を完全に破壊するほど大きな問題だと断言できます。

 デフレが長期化すれば、国民は「待っていれば値段が下がる」というデフレマインドを持ちます。すると家でもクルマでも、今買うのは損だと思うから、買わなくなる。売れなければ企業は生産を縮小する。そして余分な雇用をカットし、あるいは賃金を下げることになる。するとますます消費が冷え込んで景気が悪化する――というのが、いわゆるデフレスパイラルのメカニズムです。

 時代が違うので単純に金額では比較できませんが、私の感覚では、今の長期デフレによって日本全体で失われた富は、第二次世界大戦で失った富を大幅に上回る規模なのです。

 日経平均株価は1989年12月の3万8915円から、一時は5分の1以下に下がった。これだけで400兆円から500兆円の資産が失われたことになります。

 さらに日本列島の不動産の全価格は、1500兆円とも2000兆円ともいわれますが、これはピーク時から少なくとも5分の1にはなっている可能性があります。土地はそこまで下がっていませんが、場所によって建物は、バブル時代に10億円で建てたビルや別荘が1億円とか2億円でも売れないというケースはざらにあります。

※週刊ポスト2011年2月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン