国内

官邸が今からできる危機管理 まず情報の出所を一つに絞る

避難民対策、原発事故に官邸の対応は後手後手に回り、米有力紙に「政治指導力の欠如」と指摘されるほど迷走している。だが危機管理のプロで(株)リスク・ヘッジ代表の田中辰巳氏は「まだまだ立て直すことは出来る」と語る。

 * * *

事故・災害時の対応は「展開の予測」「対応ポリシーの確立」「迅速な人命救助」「内部で認識の共有」「外部への統一された情報の開示」が必要なんですが、官邸、電力会社ともそのどれもがなされておりません。国民が不安に覚えるのは仕方がないと思います。

ですが、まだ立て直すことは可能です。

まず早急にやってほしいのは、情報の出所をひとつに集約すること。今は枝野官房長官、東京電力、原子力保安院の三つがバラバラに記者会見していて、しかも時間によっては被ったりしています。内容もまちまちで情報や意思の統一がなされていない。

まずはこの記者会見をひとつにまとめて、枝野長官がこれからの戦略とポリシーを語り、技術的な見通しは東電・保安院に委ねる。

とくに政府の戦略とポリシーは重要で、「こうなったら、こうします」という先の見通しを与えれば買い占めのようなパニックも起きなかったと思います。

未曾有の危機であることは確かです。ですが我々は阪神大震災も経験しているし、原発事故もチェルノブイリ事故などの世界的な教訓は得られている。出来事の大きさに目を奪われがちですが、危機管理のスキームはかつて経験やマニュアルで処理できるはずです。

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