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米紙報じた「フクシマ50」に対する現場作業員の悲痛な声

 自衛隊やハイパーレスキューが強い使命感と覚悟を持って任務に当たるなか、原発の中では、否応なく危険な作業に従事する職員たちの姿があった。現在福島第一原発では、3月23日6時半現在で東京電力社員が487人、協力会社が67人で合計554人。福島第二原発は合計580人。計1000人以上が作業にあたっている。
 
 米ニューヨーク・タイムズが、事故当初から原発にとどまって作業を続けた東京電力の社員ら50人を「最後の砦」として取りあげた後、「フクシマ50」の呼称が広まるなど、海外メディアは彼らを英雄視している。だが、その内実は決して「英雄」の一言で片付けられるようなものではない。

「正直、思い出したくない……」
 
 こういいながら取材に応じた20代の独身男性は、東電の下請け企業の職員として、3月18、19日の2日間、福島第一原発5、6号機の復旧作業に従事した。
 
「国の基準で100ミリシーベルトまでといわれていた1日の被曝量が、急に250ミリシーベルトまで引き上げられた中で作業するんですよ。本当に身体に害のない数値だといわれても……。これまでは100シーベルトでも神経質になっていたのに、簡単にその2倍以上被曝してもいいんですといわれても、正直、納得できませんよ。

 ただでさえ、“本当に大丈夫なのか?”と疑心暗鬼でいるところに、いつもより短い作業しかしていないのに胸のブザーからビービー警告音が鳴り出したんです。線量計が鳴って限界時間を知らせるんですが、確実に、これまで以上に被曝している警告音です。
 
 その時の気持ちといったら……気が動転しているのが自分でもよくわかるんですよ。なにしろ、『早く安全区域まで帰りたい!』しか頭の中にはないですから、次に交代する人間が作業を速やかにすすめることができるように、使用していた備品・機材を所定の位置に置くことすら、ままならなかったほどです」

※週刊ポスト2011年4月8日号

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