ライフ

鰹節屋が経営「行列できる立ち食いそば屋」の穴子そば440円

『そばよし』の「あなごそば」440円

 江戸っ子ならずとも好きな人が多いのが、そば!……というわけで、雑誌『アリガット』元編集長の小川フミオ氏がセレクトした『そばよし』(東京・日本橋)の「あなごそば」を紹介します!

 * * *
 好物に好き嫌いはないという。酒飲みが酒の味にかまわないといわれるように、そばを日常的に食べる東京人は、そばに意外に無頓着かも。

 しかし300円未満の立ち食いそばに、大いに気をつかう店もある。日本橋のカツオ節屋さんがやっている『そばよし』だ。

 上の階でカツオ節を乾燥させる機械がゴトゴトと動いているビルの1階にある。7時半の開店で、ランチ時は順番待ちの客が歩道にまで並ぶ。もちろん、安いだけでなく、うまい。器に鼻を近づけると、本ガツオ4分の3、残りはソウダガツオとサバによる出汁のいい香りが鼻腔を通り身体に満ちる。そして細打ち麺も真面目に作っている。

 この店が愛される理由はもうひとつ、野菜や魚という旬の食材を天ぷらなどで提供してくれること。価格を抑えるために、魚はじかに仕入れる。アナゴも横浜・金沢区の小柴港まで買い付けにいく。天ぷらの状態で頬ばるとほくほくして甘い。それでこの値段。

 かつて魚河岸のあった街、日本橋の歴史が一杯の立ち食いそばに詰まっている。それが『そばよし』だ。

■『そばよし』の「あなごそば」440円

【住所】東京都中央区日本橋本町1-1-7
【営業時間】7時半~20時
【定休日】土日祝
【カード】不可

 開店は2002年。オーナーの山崎能孝さんはカツオ節屋の13代目。当然、出汁に使うカツオ節は自家製。みりんとしょうゆと砂糖で作るかえしも自家製。麺も同じビルの中で打つ。もうひとつの人気メニューは「おかかごはん(70円)」。テーブルに置かれた粉ガツオを好きなだけ振りかけ、醤油をたらして食べる。3月末に京橋に2号店オープン。

撮影■河野公俊

※週刊ポスト2011年4月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン