ライフ

伊達政宗の動脈硬化予防法と武田信玄のアロマテラピー術

【書評】『戦国武将の健康術』(植田美津恵著/ゆいぽおと/1470円)
【評者】笹幸恵(ジャーナリスト)

 * * *
 今回はちょっと趣向の異なる書籍を紹介したい。それも戦国武将の健康にまつわる諸々のエピソード。

 最近では「歴女」なる女性たちも出現し、戦国武将は私たちにとってより一層身近で親しみやすい存在になっている。しかし、彼らの健康についてはどうだろうか。どんな戦をしたか、どんな城を築いたかといったことは話題になっても、武将たちの体調管理や生活習慣まで知る人は少ないのでは。

 本書は、織田信長、武田信玄、上杉謙信といった戦国武将たちの「健康」に焦点を当て、様々なエピソードと共に、彼らのエネルギーの源や長寿の秘訣、はたまた早世の原因などを探っていく。

 たとえば88歳の天寿をまっとうした北条早雲は、「早雲寺殿二十一か条」という家訓を残している。これには仏神を信じること、早寝早起き、嘘をつかない、乗馬に親しむといった細かな心得が記されている。いずれも健康な心身を育むために必要だと著者は言う。

 健康術などというと、とかくダイエットやメタボ対策テクニックをイメージするが、さにあらず。医学ジャーナリストである著者は、武将たちの生活習慣や嗜好を紹介しつつ、時折専門的なウンチクを交え、現代に生きる私たちのライフスタイルに警鐘を鳴らす。

 食生活についても随所で触れている。北条早雲一族が重宝していたのはカツオ。「戦に勝つ」ばかりでなく、DHAが豊富で、滋養強壮作用や、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが含まれている。ちなみにカツオよりカツオ節のほうがタンパク質やミネラルが豊富だという。

 伊達政宗によって研究された「仙台味噌」は、コレステロールを調整し、動脈硬化の予防になる。

 武田信玄は一人で熟考する場所としてトイレを使っていたとか。消臭に使っていたのが「沈香」といわれるお香で、これは現代のアロマテラピーに通じる。

※SAPIO2011年5月4・11日号


関連キーワード

関連記事

トピックス

カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン