国内

過払い金返還請求弁護士らに特需来る「次は原発賠償訴訟だ」

 福島第一原発の事故処理は、それ自体が、“巨大ビジネス”になろうしている。ゼネコンや国際的原子力企業も以外にも特需が生まれつつあるとジャーナリストの伊藤博敏氏は指摘する。

 * * *
 原発事故をめぐっては、上限を定めない損害賠償で、東京電力の負担がいくらになるか見当もつかない。

 ただ、約10万人の避難住民の生活費と損害賠償、風評被害も含めた農畜産業・水産業への賠償、休業補償や営業補償、それに避難費用や引っ越し費用など細々としたものまで含めると、10兆円に達すると目されている。

 損害賠償請求は原子力損害賠償法に基づいて認められており、その指針は「原子力損害賠償紛争審査会」で作成されているが、出荷制限を受けた農家の全農作物の風評被害を認めている。

 賠償指針は7月中に決まり、それに従って被災者が東電に被害請求し、賠償交渉が行なわれる。合意に達すれば和解金が支払われ、合意不成立の場合は、民事調停や民事訴訟で決着をつけることになる。

 弁護士の出番である。

「仲間内では、『次は原発』というのが常識だ」

 こう漏らすのは多重債務者の過払い金返還請求訴訟で名を売った弁護士。彼ら弁護士にとって「ポスト過払い金返還」が原発賠償訴訟であり、これが“特需”となるのは間違いない。

 なにしろ出荷制限を受けた農家だけで8万4000戸に達し、風評被害は東北から関東一円に及ぶ。避難地区には約8000社の事業所があり約6万人が働く。20km圏内には3500頭の牛、3万頭の豚、68万羽の鶏が残された。家を奪われたのは10万人。そのすべてに損害賠償請求が発生するのだから気が遠くなる。

 ただ、今は恭順の意を表している東電も賠償交渉となると、顧問弁護士が居丈高に補償額を削ろうとするのは目に見えている。個人が対抗するのは無理だ。過払い金返還で「請求のマニュアル化」を覚えた弁護士に、“活躍の場”が与えられる。脱原発ビジネスの一つとしては見逃せない。

※SAPIO 2011年6月29日号

関連記事

トピックス

11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
(写真/アフロ)
《155億円はどこに》ルーブル美術館強盗事件、侵入から逃走まで7分間の「驚きの手口」 盗まれた品は「二度と表世界には戻ってこない」、蒐集家が発注の可能性も 
女性セブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
ミントグリーンのワンピースをお召しになった佳子さま(写真はブラジル訪問時。時事通信フォト)
《ふっくらした“ふんわり服”に》秋篠宮家・佳子さまが2度目の滋賀訪問で表現した“自分らしい胸元スッキリアレンジ”、スタイリストが解説
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン