1月21日に警視庁が公表した全国指名手配写真(警視庁HPより)
警察が公開する指名手配犯の写真は、いかにも悪いことをしそうな恐ろしい雰囲気を漂わせたものが多い。21日に警視庁が公開指名手配した巨大スカウトグループトップの男の写真も、犯罪者然としたものばかりだった。臨床心理士の岡村美奈さんが、「悪者の顔」に見える理由について分析する。
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いかにも悪そうな男の写真が公開された。公開手配されたのは、東京都暴力団排除条例違反の容疑で指名手配されていた全国最大規模のスカウトグループ「ナチュラル」会長、小畑寛昭容疑者。指名手配犯の写真といえばどれも悪そう見えるか、怖そうに見えるか、不気味に見えるか、といったところではないだろうか。
写真を見た時点で、我々はそれが指名手配犯の顔だというレッテルを貼る。その顔写真に期待しているのは悪者の顔であり、優しく柔和な表情ではない。人には、”A型の人は几帳面”などという単純化された思い込みや固定観念である「ステレオタイプ」がある。だから悪者は悪者らしく見えてほしいのだ。さらに人には曖昧な状況を好まないという心理的傾向がある。指名手配犯なのにか弱そうだったり、人が好さそうに見えたりしたら困惑してしまう。悪は悪と白黒つけられる方がすっきりするから、指名手配犯は悪者に見えなければならない。
ナチュラルは、女性を性風俗店に紹介するなどしていた匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)。現在も全国の繁華街で少なくとも1500人のメンバーが活動している。独自に開発したアプリで警察を”ウイルス”と呼び、捜査員の顔写真を共有、摘発を逃れようとしていたようだ。公開手配された小畑はグループのトップで、暴力団にスカウト行為を容認してもらう代わりに、みかじめ料を支払っていたとされる。
公開された小畑容疑者の写真は正面向き。警察署で撮られたものだ。真正面を向いた写真は顔が平板に見えやすく、表情をとらえにくくなりやすい。逮捕された警察での撮影だ。おそらく緊張しただろう。緊張するのは顔も同じで、顔全体の表情が硬くなる。目元に力が入って強張り、眉間に力が入り、口元は結ばれ口角は下がる。小畑容疑者の顔写真を見ればわかるだろう。
