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脱原発宣言の経営者 「経営者が脱原発を言えない理由はお金」

2011.07.08 16:00

 東日本大震災の直後から、企業として「脱原発」を掲げ、大きな話題になっている金融機関がある。城南信用金庫─。東京都と神奈川県で計85店舗を展開する同信金は、4月8日にいち早くHPで「原発に頼らない安全な社会へ」というメッセージを発信。その後

 東日本大震災の直後から、企業として「脱原発」を掲げ、大きな話題になっている金融機関がある。城南信用金庫─。東京都と神奈川県で計85店舗を展開する同信金は、4月8日にいち早くHPで「原発に頼らない安全な社会へ」というメッセージを発信。その後、吉原毅・理事長が脱原発を宣言したインタビュー映像が動画投稿サイト「YouTube」にアップされると大きな反響を呼び、再生回数は7万回を超えた。同社は具体的に、どのような取り組みを進め、それはどういった想いに基づいた行動なのか、吉原理事長に改めて問うた。

 * * *
――一般的には保守的な業界とされている金融機関のトップとして、「脱原発」を公言したことが話題となりました。

吉原:YouTubeの動画を自分で見ていて思ったのですが、私はごく当たり前の話しかしていないはずです。震災が起きて、これまで原発に対する問題意識が低かったことを反省し、これから何か自分にできることはないか考えるごく普通の感覚です。では、なぜ動画が話題になったのか。それは、私が企業経営者として言ったからだと思うんです。ソフトバンクの孫正義社長は例外ですが、大企業になればなるほど経営者は公の場で「脱原発」とは言いません。

――なぜそうなるのでしょう。

吉原:結局、「お金」が絡む話だからだと思います。電力会社の利益になり、電力の供給を受ける全ての会社の利益にもつながる。本来、原発というものを国策で進めるならば、立地する地域の安全、国が抱えるリスクを考えて、慎重かつ安全に進めなければなりません。ところが、これまでにもしょっちゅうトラブルを起こしてきたにもかかわらず、その原因が究明されてこなかった。目の前の利益を優先する思考が蔓延している。そこから脱却できないから企業経営者は「脱原発」と言えないのです。

――正論ですが、城南信金も原発の恩恵を享受してきたはずです。

吉原:ですから、自分たちができることから地道に始めようと考えました。まず、原発への依存の割合が3~4割ならば、それを我慢して節電してみようと。空調や照明を中心に節電に取り組んだところ、本店の電力消費量は前年比3割減となりました。LED照明への切り替えやソーラーパネルの設置も進めたいと考えています。多少の不便はありますが、やればできる。社会全体で取り組むようになれば、もっと大きな変化になるのではないかと考え、お客様の省エネルギーへの取り組みをお手伝いできるようなキャンペーンを行なうことにしました。

――5月2日に3つの商品を発表しています。

吉原:はい。ソーラーパネルや蓄電池などの設備投資を奨励するための「節電プレミアムローン」、自己資金でそうした設備投資をした方向けの優遇金利の「節電プレミアム預金」、そして家庭で電気使用量を3割削減した方への「信ちゃん福袋サービス」の3つになります。3割節電できれば、原発に頼らない安心できる社会が実現できるかもしれない、というソフトなメッセージですが、そういうことを訴えていくための商品、サービスとして3つ出しました。

 いずれも融資部や業務部、企画部からあがってきたアイディアです。最終的な判断は私がしましたが、当金庫の中でも通常業務の中で原発の問題を考えるという意識が高まっていると思います。

■聞き手/ジャーナリスト 小泉深

※SAPIO 2011年7月20日号



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