国内

TBSの「人生ゲームは節電おもちゃ」は「驚くべき見解」

 テレビ発の節電キャンペーンに疑問を抱くコラムニストの小田嶋隆氏が、放送された節電術について冷ややかに斬る。
 
 * * *
 現在、テレビの情報番組は、玉石混交の節電情報が半ば未検証で垂れ流しにされている状況にある。どんな情報であれ、とにかく流していればそれらしく見えるという、そこのところに注力しているわけだ。
 
 そんなわけで、民放の週末番組になると、節電もほとんどファンタジーの域に到達する。
 
 私が見ていた中では、TBSの『王様のブランチ』が、「人生ゲーム」を「節電おもちゃ」のひとつとして長々と紹介していた。おどろくべき見解だ。
 
 そりゃたしかにボードゲームなんだから電気を食わないことは確実だ。でも、だとしたら、ボールペンは節電筆記具(対ワープロ比)で、犬は節電ペット(対熱帯魚比)で、セックスは節電娯楽(対エロ動画比)ということになる。そういうことで良いんだろうか。あんまり無節操過ぎないか?
 
 テレビ発の節電キャンペーンの奇妙さは、さんざん節電を煽っておいて、最後に「くれぐれも無理しない範囲で」というエクスキューズを付け加えるところにある。
 
 これは、おそらくエアコンを我慢した結果熱中症で倒れるお年寄りが出ることを警戒しての付加情報なのだと思うが、この一言があることで、それまでの節電あれこれがかなりの度合いで台無しになる。
 
「がんばれ。でもがんばりすぎるな」
 
 つまり、ダブルバインドだ。煽った後に水をかける力加減。飾り窓の女が勘定の時だけ一瞬真顔になるみたい(って、飾り窓になんか行ったことないけどさ)で、興ざめですよ。
 
 インバーターエアコンは、電力が不足して電圧が低下すると、消費電流量を増やすことで電力(W)を一定に保つ仕組みでできている。つまり、水道管になぞらえて言えば、水不足になると管を太くして、自分だけいち早く水を確保しにかかる構造になっているのだ。
 
 かように、節電という我慢比べのステージでは、正直者が損をすることが、原理的にあらかじめ定められている。きびしい勝負だ。
 
 結論を述べる。節電キャンペーンは、なまあたたかい目で受け止めよう。原発推進勢力の陰謀だという話もあることだしね。
 
 で、節電の実行はあくまでも冷ややかに。熱くなった方が負け。

※SAPIO2011年8月3日号

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン