国内

NHKのお天気キャラ「春ちゃん」 急に画面から消えた理由

夏に入っても堂々と「春」を主張し続ける、NHK『ニュースウォッチ9』のお天気キャラクター、「春ちゃん」。その姿が、7月末、なぜかばったりと画面から消えた。オタクからも「オタクに媚びすぎ」「萌え路線に走った」と指摘が上がったキャラクターに何が起こったのか。作家で五感生活研究所の山下柚実氏の視点は、こうだ。

* * *
水打ち、風鈴、浴衣、うちわ、かき氷に冷や奴。すだれを通り抜ける光、爽やかな水音を楽しむ感性。日本の文化は長い間、「季節感」というものを何よりも大事にしてきました。

特に今年は、できるだけ電気を使わず、耳と目、五感から涼をとる知恵を駆使しようと、日本中が格闘しています。そんな日本の文化的感性に対して喧嘩を売るような大胆なキャラクターに、驚かされました。

夏に入っても堂々と「春」を主張し続ける、NHK『ニュースウォッチ9』のお天気キャラクター、「春ちゃん」。あえて季節のミスマッチを楽しんでいるのでしょうか。額には「春」の大文字。お人形さんのような甲高い声、巨大な瞳にカールした髪の毛、ギリシャの女神風?ワンピース。まさか、「暑さ苦しさ」を強調しようとしているなんてこと、ありえないですよね。

真夏なのに「春」の文字の違和感もさることながら、ねっとりとからみつく甘い声が、実に暑苦しい。これは間違いなく、声優によって演出された声色です。それゆえ、「春ちゃんの声は誰か」とアニメオタクの間で話題が沸騰。後日、アニメ界で人気の声優、豊崎愛生さんの声だとNHKが公表しました。アニメファンの心を掴む話題作りも、手が込んでいます。

もちろん、「春ちゃん」の活躍は、テレビの中だけではありません。NHKのキャラクターショップでは、フィギュアやぬいぐるみなどに変身して人気を集めているらしい。節電の夏、「涼感」を犠牲にしてまで視聴率や収益をあげたい、という公共放送局の焦りと危機感のあらわれでしょうか。そこまでするNHKの姿に、オタクからも「オタクに媚びすぎ」「萌え路線に走った」と指摘が上がったほどです。

ところがなぜか7月末、「春ちゃん」の姿がぱったり消えました。新潟・福島地方に記録的豪雨が降り、40万人近くが避難勧告を受けた時期。災害時に脳天気な萌えキャラに気象予報をさせるわけにはいかない、という公共放送の「賢い判断」のせいかもしれません。

考えてみれば、朝の番組をはじめとして、気の利いた一言も言えないまま公共放送のレギュラーに居座っている芸能人より、「春ちゃん」の方がずっと扱い易いですよね。都合が悪い時は、さっさと画面から消してしまえばいいとすれば。

「キャラクターの人権なんて無視」というそんなNHKの姿勢に、ファンの方々はどう感じているのでしょうか?

いよいよ8月に入り、また「春ちゃん」が画面に戻ってきました。盛夏の中で一層、ミスマッチ感たっぷりに自己主張する「春ちゃん」の存在、注目していきたいと思います。


関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン