国内

タリーズ創業者 初期の出店時消防と保健所の板挟みになった

 この国の経済と社会に立ちはだかる役所の「規制」の壁。SAPIO連載「おバカ規制の責任者出てこい!」でおなじみの元経産官僚で政策工房社長の原英史氏が、経営者として規制の壁に幾度もぶちあたってきたタリーズコーヒージャパン創業者の松田公太・参議院議員と“壁の越え方”を話し合った。

 * * *
原:私は本誌で、国民の生活や経営者の工夫の邪魔をする「おバカ規制」を追及する連載を続けています。松田さんが経営者時代に感じた規制の壁はありますか?

松田:タリーズコーヒーを始める前に、アメリカで人気のアイスクリームを輸入しようと考えていたことがあるんです。しかし、「ソルビン酸」という保存料が使われている製品は輸入できないと言われた。アメリカでは普通に食べられているのに、なぜだろうかと調べると、実は国内でも、かまぼこや醤油などの食品には使われている。日本人の摂取量は相当あるはずなのに、アイスクリームはどうして輸入できないのか、非常に不思議に思いました。

原:厚生労働省の添加物規制ですね。

松田:役所に掛け合ってみたんですが、無理でした。アイスクリーム業界の方に聞いても、「役所がダメというものは無理だからあきらめたほうがいい」と。ソルビン酸の規制は昭和40年代にできて、一度も見直されていないということもわかって、健康にどの程度影響があるのかが曖昧なまま規制が続いているんじゃないかと強く感じましたね。

松田:こういうこともありました。席のないテイクアウト型のコーヒー店は、日本で私が最初に始めたのですが、ある会社の本社の1階ロビーに店舗を出すことになり、消防と保健所の許可を取った。店舗ができ上がりかけた時に、初めてのスタイルだから念のために内装を見てもらったら、消防は「店舗に屋根をつけてはいけない」と言う。火事が起きた時、スプリンクラーが発動しても屋根があると水がかからないから。次に保健所に見てもらうと「屋根が必要」という。上から落下物が落ちてくるかもしれないから衛生上必要だと。

原:互いに譲らないのですね。

松田:ええ。他の役所のことは関係ないと。困って、最終的にメッシュタイプの屋根にした。水は浸透するし、落下物も防ぐことはできる。なんとかクリアしました。

原:典型的な縦割り行政の問題です。役所はそれぞれ、他省庁の規制なんて知らないし、どうしようもない。だから松田さんが矛盾を解決するアイディアを出して、担当者はホッとしたんじゃないですか。

※SAPIO2011年8月17日・24日号

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン