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日産のルノー逆買収がゴーン社長の引退の花道と大前研一氏

自動車業界では世界的な再編が進んでいるが、今後の合従連衡はどうなるのか。経営コンサルタントの大前研一氏が分析する。同氏は日産自動車の動きに注目しているようだ。

* * *
自動車業界のこれからの勝者は、おそらく合従連衡をうまくやった陣営だと思う。自力でじわじわシェアを拡大していく時代は終わった。先進国のマーケットはほとんど成熟し、新興国や途上国のマーケットでは中国のGMやVWのように昔から入っている会社が強いからだ。今後は、それぞれのマーケットで強い会社を合従連衡の中に組み込んで、車種を交換したり、プラットホームを共通化してコストダウンしたり、お互いの得意分野をお互いのネットワークで販売したりすることが重要となる。

そういう中で日産は、ルノーをリバース・テイクオーバー(逆買収)すべきである。ルノーはヨーロッパでそれなりに強く、とくにルーマニアなどの東欧圏でシェアが高いものの、企業としては日産のほうがはるかに上だ。私の計算では、ルノーの時価総額は、日産の時価総額にルノーの持ち株比率をかけた額より小さい。つまりルノー自体の時価総額は限りなくゼロに近いわけで、日産がルノーを傘下に収めるのが自然な形なのだ。

具体的な方法は、日産ルノー・ホールディングカンパニー(持ち株会社)を作り、ルノーの株を(株主が喜ぶ)一定の割合で日産の株に交換して現在の「ねじれ」を解く。そうすれば日産が主導権を握ることができてルノーの株主もベリーハッピーになる。最大株主のフランス政府が合意するかどうかが微妙だが、これがゴーン社長にとってベストの「引退の花道」だと思うのである。

※SAPIO2011年8月17日・24日号

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