ライフ

芥川賞作家 旅費8万円送り手応えあった女子アナに振られる

西村賢太氏連続インタビュー

ネット界注目の私小説家・西村賢太氏への連続インタビュー。第3回目は一年間の同棲生活をモデルにした一連の作品(通称・「秋恵」もの)から、独特の女性観に迫る。(聞き手=神田憲行)

* * *
--西村さんというと「秋恵」ものなんですが、芥川賞受賞後、「秋恵」のモデルになった女性からコンタクトありましたか。

西村:本人からはなかったんですが、「秋恵」のお母さんから「おめでとう」と電話をいただきました。その前からちょくちょく借金の督促の電話が来ていたんですが(注・西村氏は同棲していた「秋恵」さんの実家から多額の借金がある)、受賞でまた催促されるのかなと思ったら、「おめでとう」だけでお金のことを一切言われ無かったのは感謝してます。

--それは嬉しいですねえ。

西村:まあ、それ言われたのが1月でいま7月なんですが、まだ全く、お金を返していないんですけど(笑)。

--あんまりお金使わない生活なら返せるんじゃないですか?

西村:いや、僕の場合は藤澤清造の資料を買うという人生の目的がありますから。この間も清造の生原稿がまとまって(古書市場に)出たんですが、そういうのを糸目を付けずに買いますから。

--先日のテレビでは読者と地方局の女子アナに振られたという話をされていました。

西村:サイン会に若くて感じの良い女性が来たんです。僕のサイン会は中高年の男性が多いから、若い女性が来ると目立ちます。しかも彼女はサインをしたときにメールアドレスを渡してきたので、ならばとメールしたんですが、なにも返事が返ってこなかったですね(笑)。

女子アナはいずれ小説の一部にするんで詳しくいえないんですが……あるイベントを見に来ませんかと旅費を8万円送ったら本当に来て手応えを感じたんですけど、そのあと何の音沙汰もなく……まあねえ……(担当の編集者「来たからねえ」)そうそう、来たからねえ……あれも何だったのかな(笑)。

--「秋恵」さん以降、女性の交際はないのですか。

西村:「秋恵」が他に男を作って出て行ったのが僕が35歳のときで、それから9年間いませんねえ。まあ、女性との関係というのは、僕みたいなタイプの小説の生命線のひとつなんですね。ネタ作りじゃないですけれど、繰り返しいくつになっても追い求めていかなきゃいけないところがあります。だから変に成就しないほうが、ネタとしてはありがたいのかもしれない。

でも歳のせいか、もう女性と一緒に住みたいという欲もなくなってきたね。孤独死して遺体が液状化で発見されたら悲惨すぎるなという恐怖はあるけど(笑)。あと痛風が出たときはタバコ一つも買いに行けなくなるから、そういうときは誰かいたらいいなあと思う。

--一人で住んでいて寂しくなるときはないですか。

西村:ありますよ。芥川貰っても、結局家に帰ったら誰もいないから「ああ、取って良かった」と思うぐらいで終わってしまう、虚しさを感じました。でも次の日になったらそんな虚しさなんて忘れちゃうから。一瞬だけ。

けどその一瞬のためだけに家族を養わないといけないなんて、大変じゃないですか(笑)。もし病気にでもなられたら、すごく自分にとっての足かせになるわけだし(笑)。

--あのう、聞きようになってはずいぶんヒドイこと仰っているような(笑)。(担当編集者「そんなことを言うから女性読者が増えないんですよ」)

西村:いやいや、あっそう? うん、元気ならいいですよ、お互いが。でも相手が寝たきりになったら放り出すわけには行かないし、それ考えたら、やはり一人の方が気楽で良いですよね。中学出てから一人で生きてきて、馴れちゃったというころもありますよ。ヒドイ? いやーみんなそう思ってますって(笑)。


関連記事

トピックス

裁判は全面対決に発展(ZUMApress_AFLO)
水原一平被告が裁判で繰り返した「裏付けのない主張」と「暴露」…“厳罰を望む”大谷翔平の言動からにじみ出る静かなる怒り
女性セブン
大木容疑者(共同通信)。頭部が遺棄された廃マンション
《東大阪・バラバラ遺体事件》「部屋前のインターホンが深夜に鳴った。それも何度も」女性住民が語った“恐怖のピンポン”「住民を無差別に狙っていたのか…」
NEWSポストセブン
車に乗り込む織田裕二(2025年1月)
《フジテレビ騒動の影響》織田裕二主演映画『踊る捜査線 N.E.W.』、主要キャストに出演を打診できないままピンチの状態 深津絵里の出演はあるのか
女性セブン
閑散とした場所に喫煙所(城北公園)
【万博まで約2か月・現地ルポ】路上喫煙禁止条例施行の大阪市「喫煙可能な場所を300か所確保」方針で大騒動 「本当にここに必要か?」「鍵が開かない」…問題が続々噴出
週刊ポスト
『東京2025世界陸上』のスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
「くすぶって終わりたくない…」 織田裕二がバラエティ出演を辞さなくなった切実な背景《『世界陸上』に緊急復帰の理由》
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「従業員の人が驚くといけないから…」田村瑠奈被告が母・浩子被告に告げた「殺害現場のホテルをキレイにした理由」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「1000人以上の男性と関係を持った」金髪美人インフルエンサー(25)が“乱倫パーティー動画”削除の大ピンチ《世界に波及する“奔放な女”の影響力》
NEWSポストセブン
浩子被告の主張は
「すごい、画期的だ…」娘・田村瑠奈被告と被害男性の“初夜”の日、母・浩子被告が夫に送っていた「驚嘆LINE」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
怒り心頭のマツコ
《所属事務所社長の失踪で“消えた大金”》マツコ・デラックス“年収7億円”“20億円”説に「本当の金額はかけ離れている」と猛反論 
女性セブン
新証拠が明らかに(左は共同通信)
「深夜3時に猛ダッシュ」大木滉斗容疑者(28)の“不可解な奇行”を捉えた新証拠とエリート大学生時代の“意外なエピソード”《東大阪バラバラ遺棄》
NEWSポストセブン
ビアンカ・センソリ(カニエのインスタグラムより)
《過激ファッション》カニエ・ウェストの17歳年下妻、丸出しドレスで『グラミー賞』授賞式に予告なく登場「公然わいせつ」「レッドカーペットから追放すべき」と炎上
NEWSポストセブン
“既婚者のための新しい第3の場所”ここにあります
《家庭・職場だけではない“既婚者のための新しい第3の場所”を》会員数50万人突破!カドル(Cuddle)-既婚者マッチングアプリが提案する新たな出会いの形
NEWSポストセブン