国内

仙台の高級割烹 震災復興バブルで連日満員、客単価が上がる

 震災から7か月経った。新聞・テレビはいまだ被災者の苦しむ姿や被災地の窮状ばかりを強調するが、現地では少し違う現実も出てきた。

 東北の、日本の底力をなめてはいけない。被災地では、すでに「東北大バブル」とも呼ぶべき復興景気が萌しているのだ。

 仙台の繁華街を訪れると、一見して人通りに変化はない。しかしその裏で、高級店に人が集中するという不思議な現象が起きていた。天ぷら、すき焼きが名物の老舗高級割烹は、約100人が入れる店が連日満員。

 支配人はうれしい悲鳴をあげる。

「うちは完全に復興景気が来ています。前年に比べて1.5~2倍のお客様に来て頂いている。しかも客単価が上がっていて、以前は7000円のコースが多く出ていたのが、震災後は1万5000円の一番高いコースがよく出るようになった。震災後は、うちだけでなく接待で使って頂けるような料亭やクラブに、よくお客様が入っているようです」

 支配人が指摘したのは、復興事業による客層の変化だ。

「いま多いのは、県内外の建設関係の方。ちょっと前だと、関東の自動車業界の方がよく来ていました」

 岩手、宮城、福島の東北3県が今後10年間で見込む復興費用は実に30兆円を超える。この特需にあずかろうと、がれき撤去や住宅再建を担う建設業者、自動車の買い換え需要を見込む自動車業者などが県外から大挙押し寄せ、高級店を潤しているというわけだ。

 仙台の繁華街・国分町のキャバクラ嬢も変化を実感するひとりだ。

「もともと仙台の人って、そんなにキャバクラにおカネ使ったりしないんだけど、震災後は県外の人が増えて、ドンペリのような高級酒が普通に注文されるようになりました。

 関西から来た建設会社の社長さんと同伴したときには、7万円のポーチと2万円の靴を買ってもらったうえに、ポンと3万円くれて『エステ行っておいしいもの食べておいで』って。東京の会社の人なんて、お店の子3~4人を温泉に連れて行ってくれた。そんなこといままでなかったから、こんな景気いい人もいるんだって思いましたもん(笑い)」

※週刊ポスト2011年11月4日号

あわせて読みたい

関連キーワード

関連記事

トピックス

中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
スカイツリーが見える猿江恩賜公園は1932年開園。花見の名所として知られ、犬の散歩やウォーキングに訪れる周辺住民も多い(写真提供/イメージマート)
《中国の一部では夏の味覚の高級食材》夜の公園で遭遇したセミの幼虫を大量採取する人たち 条例違反だと伝えると「日本語わからない」「ここは公園、みんなの物」
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
『国宝』に出演する横浜流星(左)と吉沢亮
大ヒット映画『国宝』、劇中の濃密な描写は実在する? 隠し子、名跡継承、借金…もっと面白く楽しむための歌舞伎“元ネタ”事件簿
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン