ライフ

死海 30分浮遊すると高塩分濃度のため高浸透圧性脱水に陥る

白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏によると、「死海の藻」のパワーは、放射線障害から動脈硬化まで効くという。

* * *
死海はアラビア半島北西部に位置する塩湖で、西側をイスラエル、東側をヨルダンに接している。湖面の海抜はマイナス418メートルと地表で最も低く、死海の湖水が流れ込む先はない。そのため塩分濃度は上昇の一途をたどり、今では35%と湖水の高塩分濃度は生物が生息できないレベルに達することから、死海と呼ばれている。

体が沈まず、プカプカ浮かぶ浮遊体験が楽しめるのもこの高塩分濃度のおかげだが、30分も浮遊体験をしていると高塩分濃度のために高浸透圧性脱水に陥ってしまう。

イスラエルのワイツマン基礎科学研究所は、死海の湖水の一部がオレンジ色に変化していることに注目し、死海に生息できる藻を発見した。調べてみると、この藻はドナリエラ・バーダウィルという種類の微細藻類だった。

興味深いことに、ドナリエラは緑藻類の仲間であるが、太陽光と高塩分濃度の環境下で、β-カロテン等のカロテノイドが細胞に蓄積されオレンジ色を呈することがわかった。さらにこのβ-カロテンを分析すると、半分はニンジンと同系列の色素成分で、残りの半分は9-cisβ-カロテンというβ-カロテンの異性体の一つだったのである。

日健総本社の故田中美穂社長はドナリエラの可能性に注目、質の高い天然型β-カロテンを管理培養生産することに成功した。その後も、ドナリエラ・バーダウィルに含まれる9-cisβ-カロテンには、放射線保護作用だけでなく、網膜色素変性症に対する治療効能や糖尿病や動脈硬化症に対する進行抑制作用などが報告され、死海の中で生きる生命力に限りないパワーが秘められていることが明らかになった。放射線汚染が広がりつつある日本でも、死海のパワーがこれから役に立ちそうだ。

※週刊ポスト2011年12月16日号

関連キーワード

トピックス

安達祐実と元夫でカメラマンの桑島智輝氏
《ばっちりメイクで元夫のカメラマンと…》安達祐実が新恋人とのデート前日に訪れた「2人きりのランチ」“ビジュ爆デニムコーデ”の親密距離感
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《安達祐実の新恋人》「半同棲カレ」はNHKの敏腕プロデューサー「ノリに乗ってる茶髪クリエイターの一人」関係者が明かした“出会いのきっかけ”
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《“奇跡の40代”安達祐実に半同棲の新パートナー》離婚から2年、長男と暮らす自宅から愛車でカレを勤務先に送迎…「手をフリフリ」の熱愛生活
NEWSポストセブン
明治、大正、昭和とこの国が大きく様変わりする時代を生きた香淳皇后(写真/共同通信社)
『香淳皇后実録』に見当たらない“皇太子時代の上皇と美智子さまの結婚に反対”に関する記述 「あえて削除したと見えても仕方がない」の指摘、美智子さまに宮内庁が配慮か
週刊ポスト
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン