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享年69 鏡リュウジ氏らに 影響を与えた占い師の最期を述懐

 子供のころ、占いといえばこの人だったような気がする。ルネ・ヴァン・ダールという神秘的な名前から導き出される数々のメッセージに心躍らせ、夢を抱き、占いが身近でファッショナブルなものに感じられた――多くの人がそんな思いを抱いたのではないか。そのルネさんが3年前からがんと闘い、つい最近亡くなっていた。占いにかけた69年間の知られざる生涯を追った。

<恋人のいないあなたは5/14~5/18に紹介してもらえる暗示があります。ただし、深夜族そうなら敬遠して吉>(1980年5月の乙女座)

<アルマーニ男よりポロ小僧のほうがこの期間はねらいめ。水辺に幸運があるので、マリーナにでかけてみては>(1990年5月の天秤座)

<みんなでお茶するならオープンテラスのカフェを選んで>(2000年5月の魚座)

“深夜族”“アルマーニ男”“オープンテラスのカフェ”・彼の星占いはいつだってオシャレで、その時代を生きる女の子の気持ちを見事にキャッチしていた。

 1971年の創刊から今年6月号までの40年間、ファッション雑誌『non・no』(集英社)で星占いコーナーを連載してきた、ルネ・ヴァン・ダール・ワタナベさん(享年69)が11月22日、前立腺がんのために亡くなった。

 実弟でデザイナーの渡辺雪三郎さんが、ルネさんの最期の様子をこう語ってくれた。

「兄は近年、がんが見つかり、闘病生活を続けていました。病状が悪化し、今年の初夏に入院を余儀なくされましたが、8月にはいってから本人が自宅療養を希望したこともあり、退院したんです。

 兄は、そう長くないと、悟っていたんだと思います。と同時に、兄自身がいちばん、まさかこんなに早く逝くとは思っていなかったことでしょう」

 亡くなる前日から徹夜で見守っていた雪三郎さんに、ルネさんは、「看病してくれてありがとう。元気になれなくて申し訳ない」こう最期の言葉を残したという。

「その後、兄が信頼する主治医、奥さん、身内に見守られながら、自宅の寝室で静かに息を引き取りました。非常に穏やかで静かな表情でした」(前出・雪三郎さん)

 ルネさんは前出の『non・no』以外にも、女性週刊誌で占いの長期連載を持ち、1992年まで放送されていた『3時にあいましょう』(TBS系)では占いコーナーも担当していた。その功績を日本占術協会会長の浅野八郎氏はこう評価する。

「それまでの西洋占星術はわかりにくく、マイナーな存在でした。それを独自の研究でわかりやすく解説し、日本に広めた功労者です。西洋占星術は12星座を基にするものですが、12星座占いをここまで一般的にした彼の功績は、とても大きい」

 一般には知られていなかった西洋占星術。ルネさんの経歴は、「女子向け占い」にかけた40年だった。

※女性セブン2011年12月22日号

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