スポーツ

澤穂希 運動能力はチーム内で平均点でも世界最高評価の理由

「自分を一番の選手だと思っていない」と澤

なでしこジャパン主将・澤穂希に新たな「世界一」の勲章が加わるか。女子サッカーの世界最優秀選手を選ぶ“2011 FIFA女子バロンドール”である。10月にノミネート10名を選出した同賞は、12月5日に最終候補者3名を発表。マルタ(ブラジル)、ワンバック(米国)とともに澤がエントリーされた。世界的に高い評価を得る澤の意外なエピソードについて、彼女の最新刊『夢をかなえる。』(徳間書店刊)を構成、『世界一のあきらめない心』(小学館刊)を上梓したスポーツライター・江橋よしのり氏が解説する。

* * *
なでしこジャパンが合宿を行なう際、選手全員が持久力やダッシュ力、ジャンプ力などの運動能力テストを受けることがあります。意外ですが、澤はどの種目も平均点そこそこなのだそうです。澤本人も「だから私は、自分を一番の選手だと思っていない」と謙虚に受け止めています。

それでも澤は、いざ試合となると誰よりも最後まで徹底的に走ります。テレビ画面からは分かりにくいですが、スタジアムでよく目を凝らして見てみると、澤は“ムダのない走り”を誰よりも実践していることが分かります。つまり澤は、「ここでボールを奪えそうだ」と感じたエリアに、一直線で走っているんです。途中でコースが変われば、やはり誰よりも早く軌道を修正して先回りしています。いってみれば澤は、“究極のエコ・サッカー選手”なんです。

そのうえで、溜めていた力を勝負所でしっかり使う。足の止まったマーカーを簡単に振り切ってゴール前に顔を出し、シュートを放っている。だから得点も量産できるんですね。こういうタイプの選手は、世界を見渡しても男子選手ですらなかなか見つからないでしょう。

では、澤は一体どのようにしてボールを奪う嗅覚を身につけたのか。ストレートにこの件を本人に問うと、明確な答えは返ってきませんでした。強いていえば「サッカーが大好きだから」「もっとうまくなりたい、といつも思っているから」といった返事が返ってくるばかりです。無意識的に体現できる正解でも稀有な才能! つまり、「他人に説明できない感覚=澤特有の能力」と解釈すれば、澤穂希がいかに突出した特別な選手であることの理由が分かる気がします。

※2011 FIFAバロンドールの発表と授賞式は2012年1月9日19時、(日本時間10日未明)スイス・チューリッヒで行なわれる。

撮影■金子悟

関連キーワード

関連記事

トピックス

中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「山健組組長がヒットマンに」「ケーキ片手に発砲」「ラーメン店店主銃撃」公判がまったく進まない“重大事件の現在”《山口組分裂抗争終結後に残された謎》
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
財務省の「隠された不祥事リスト」を入手(時事通信フォト)
《スクープ公開》財務省「隠された不祥事リスト」入手 過去1年の間にも警察から遺失物を詐取しようとした大阪税関職員、神戸税関の職員はアワビを“密漁”、500万円貸付け受け「利益供与」で処分
週刊ポスト
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン